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世界へ羽ばたくアズマリ デレブ・デサレン [東アフリカ]

Dereb Desalegn & Nicky Bomba.jpg

9月に来日した在オーストラリア・エチオピア人シンガー、
デレブ・デサレン(アムハラ語の発音は「ダレブ・ダッサラン」に近い)が、
オーストラリア人ドラマー、ニッキー・ボンバとのコンビで、
06年にリリースしたアルバムです。
デレブ・ジ・アンバサダー以前にも、デレブはこんな快作を作っていたんですねえ。
エチオピアのアズマリをフィールドワークしている研究者、
川瀬慈さんから教えていただきました。

川瀬さんは古くからデレブと親交があり、
9月の来日の際は日本で再会したのかと思いきや、
ちょうどその時、エチオピア北部ゴンダールにある
デレブの故郷の町を訪れていたのだとか。
大いなるすれ違いとなってしまったわけですが、
世界へ飛躍するアズマリのデレブを、川瀬さんは高く評価していて、
デレブ・ジ・アンバサダーの日本でのライヴの様子を気にされていました。
ちなみにデレブ・ジ・アンバサダーのライヴ・レポートは、
今月号の「ミュージック・マガジン」に書いたので、そちらも読んでみてくださいね。

デレブは高名なアズマリの叔父を持つ家系の生まれで、
現在では兄妹ともども世界へ羽ばたいて活躍しています。
ダブ・コロッサスの女性シンガー、ミミことシンタイヨ・ゼンネバがデレブの妹だったとは、
川瀬さんに教えてもらうまで知りませんでした。
もう一人の妹トゥルウドゥル・ゼンネバもエチオピアで活躍中で、
二人がまだ幼かった頃からの付き合いのある
川瀬さんにとっては、思い出深いアズマリ一族のようです。

デレブ・ジ・アンバサダーでは、70年代エチオピアン・ポップスを再現していましたけれど、
ニッキー・ボンバと組んだ本作では、アズマリの本領を発揮した内容となっていて、
マシンコを弾きながら、のびのびとしたこぶし回しで歌う
デレブの味わい深いノドを堪能できます。

ニッキーはドラムス、ベース、ギター、キーボードを担当しているんですが、
シンプルなサウンドで土臭い味わいを生かしているところに、ニッキーのセンスの良さと、
リズム・アレンジなどにアズマリ音楽への理解の深さを感じさせます。
打ち込みや鍵盤系楽器の使用過剰なエチオピア現地産の伝統アルバムの方こそ、
このアルバムのサウンドを見習ってもらいたいですね。

オーストラリア人のニッキーも実は移民で、生まれはマルタなのだそう。
ジョン・バトラー・トリオのドラマーも務めていたというので、
あれ?それじゃ05年に来日した時に観たドラマーもニッキーだったのかと調べたら、
あの時は違ったみたいですね。

アズマリ出身のデレブの実力を示したオーストラリア盤の本作、
日本には入ってきていないので、バイヤーの皆様、ぜひ仕入れてください。

Dereb Desalegn & Nicky Bomba "DRUMS AND LIONS" Transmitter TRDER7002 (2006)
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