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多民族融合のお手本 ママール・カッセイ [西アフリカ]

Mamar kassey.jpg

ニジェールのママール・カッセイの新作!
なんてまあ、ひさしぶりなんでしょ。十数年ぶりじゃないですか。
現地ではカセットを出していたのかもしれませんけれど、まったく音沙汰なしでしたからねえ。
インターナショナル・リリースとしては、“DENKÉ-DENKÉ” “ALATOUMI” に続く3作目ですよ。
先月タル・ナシオナルを聴いて、ママール・カッセイはどうしているのかなと思ったばかりなので、
なんとも絶妙なタイミングであります。

グループのリーダーで、シンガーのヤクバ・ムムニの歌いぶりが、相変わらずいいですねえ。
土埃舞うサヴァンナの土地と気候に鍛えられると、こういうノドになるのかといった感じで、
まさしくニジェールを代表する、西アフリカらしさを体現したシンガーといえます。
フルベ人のヤクバは、フルベの笛セイセも吹くんですけど、この音色がまたいいんだな。
尺八をちょっと思わすひび割れた響きは、日本人の胸にぐっとくるものがありますよ。
5音音階のフルベの曲は日本の民謡にも通じるところがあって、なおさら味わい深く聞こえます。

といっても、ママール・カッセイはフルベの音楽だけでなく、ソンガイ、ハウサ、トゥアレグといった
多民族のニジェールを反映した音楽性を発揮しているところが持ち味です。
こうした多様な民族性の共生を旨とするバンドというのは、西アフリカを見渡しても珍しく、
タル・ナシオナル同様、ニジェールという国の良さなんじゃないでしょうか。
たとえば、ナイジェリアを例に取ればわかりやすいですけど、
ナイジェリアでヨルバ、ハウサ、イボの混成バンドなんて、考えられませんからね。
民族間抗争の絶えないアフリカで、ニジェールは多民族融合のお手本ともいえるのでは。

今作も前2作と基本的に内容は変わらず、モロ、コムサ、カマレ・ンゴニ、ゴジェ、
カラング(ハウサのトーキング・ドラム)といった伝統楽器をふんだんに使い、
グルーヴ感に満ちあふれた演奏を聞かせてくれます。
つい最近、青年海外協力隊でニジェールへ行っていたという女性と話していて、
ママール・カッセイが地元でもトップの人気バンドだということを聞いたばかり。
彼女、「ギタリストがイケメン♡」なんて言ってたっけ。
常にニジェール国内をツアーして回っているんだそうで、
そんなライヴ・バンドとして鍛えられた実力が、本作からもよく伝わってきますね。

Mamar Kassey "TABOUSSIZÉ - NIGER" Innacor INNA21316 (2013)
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