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新たなるアズマリ名盤 チャラッチョウ・アシェナフィ&イリルタ・バンド [東アフリカ]

Chalachew Ashenafi & Ililta Band  FANO.jpg

デレブ・デサレンとニッキー・ボンバの共演作に続いて、
今回も10月12日の音樂夜噺で川瀬慈さんがかけたCDについての話題です。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-11-02

川瀬さんが調査地にされているエチオピア北部ゴンダールの名アズマリ、
チャラッチョウ・アシェナフィが、11年7月にオランダで録音したアルバム。
音樂夜噺の時、川瀬さんは発売前のCDをかけていたので、リリースを楽しみにしていたました。

チャラッチョウがワルシャワとデンマークで開かれたロック・フェスティバルに出演したあと、
オランダに寄ってレコーディングしたこのアルバム、
その後チャラッチョウが12年5月に45歳の若さで突然死してしまったため、
これがラスト・レコーディングになったといいます。

マシンコを弾き語るチャラッチョウの粗削りなノドがいいですねえ。
これぞアズマリといったパワフルな節回しで、聴く者をぐいぐい引きつけます。
レパートリーのリズムも多彩で、今後このアルバムが
アズマリの音楽の代表作として挙げられるようになるんじゃないでしょうか。

音樂夜噺のトークで、アズマリとグリオとの違いを川瀬さんに質問したところ、
アズマリの方が詩の即興性に富んでいると答えられていましたけど、
なるほどこのアルバムでも、チャラッチョウの語り口には即興性が感じられ、
溢れ出す言葉のリズムにチャラッチョウ自身が高揚していく場面がすごくエキサイティングです。

Ethiopiques 2 Tetchawet!.jpg   Mesele Asmamaw.jpg

そして、チャラッチョウを守り立てているのは、
クラールのメセレ・アスママウとケベロのミサレ・レゲセの二人。
メセレ・アスママウも名アズマリとして有名な人で、
エチオピークの第2集に当時期待の若手アズマリとして1曲収録されていたほか、
04年のリーダー作は拙著『ポップ・アフリカ700』でも取り上げました。

3人が縦横無尽に絡み合い、時に女声のお囃子も加わる
アルバムの中でも白眉となっているのが、8曲目の“Hailoga”。
夏に来日したデレブ・デサレンがステージで歌っていた曲で、
♪ヤー、ホー♪ というリフを観客に連呼させて、場を盛り上げていましたね。
解説によると、戦闘の前の儀式で歌われてきた曲だそうで、
アズマリの古くからの伝統的なレパートリーだったんですね。
嘆き節から祝祭感の強い曲まで、アズマリの広いレパートリーを堪能できる傑作です。

Chalachew Ashenafi & Ililta Band "FANO" Terp AS24 (2013)
V.A. "ÉTHIOPIQUES 2 : TÈTCHAWÈT! - AZMARIS URBAINS DES ANNÉES 90" Buda Musique 82952-2
Mesele Asmamaw "MASTERPIECE ETHIO TRADITIONAL SONGS" Afr Rec AR154 (2004)
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