未来を肯定するゴスペル ロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンド [北アメリカ]
ペダル・スティールがぎゅわわ~んと鳴り響く、のっけの1音にノックアウト。
入魂のスライドに、デビュー当時の熱いサウンドが蘇ったのを確信しました。
セイクリッド・スティールの若獅子ロバート・ランドルフのブルー・ノート移籍第1作です。
十年前、ロバート・ランドルフのデビューに、こいつぁ、すげえと快哉を叫んだクチですが、
その後出すアルバムがどうもフに落ちず、特にT・ボーン・バネットがプロデュースした前作など、
方向性が違うんじゃないのとがっくりきてたので、今作は聴きもせず放置していたのです。
あー、年内に聴けて良かったぁ。今年のベスト選に間に合いましたよ。
まさかブルー・ノートに移籍して、あのブラッキーなサウンドが蘇るとは思いませんでしたねえ。
ゴスペルで、ロックで、ファンクなサウンドを全面展開。
クレジットをみれば、ロバート本人のプロデュース。
ライヴのエネルギーを詰め込むことをねらいとして、一気に録音しちゃいましたて感じでしょうかね。
なんとも爽快な仕上がりで、こういうのを待ってたんですよお。
ヤング・ラスカルズの「グッド・ラヴィン」なんてナンパな曲を取り上げていて、
ちょっ、なんて軽いヤツ!と思ったけど、聴いてみりゃごきげん。
そういや、ちょうど十年前の今頃来日した新宿のリキッドルームでも、
マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」を嬉々としてやってたっけ。
あのステージでは、ジミ・ヘンドリックスの「ヴードゥー・チャイル」をえんえんジャムったり、
ハンパないエネルギーを放出しまくったパフォーマンスで、
今も忘れられない名ライヴのひとつです。
あのライヴから、また一段とスケールを増した本作。
カルロス・サンターナ、トロンボーン・ショーティというゲストも、
ロバートの音楽性とぴたりと合致して好演しています。
うわっつらのサウンドが、いくらロックやファンクに聞こえようとも、
この<やみくもな明るさ>には、ゴスペル・フィールがしっかりと宿っているのを感じますよ。
ロバートのゴスペルには深みがないと軽んじる人もいますが、ぼくはそうは思いません。
未来に不安・不満を持つ人が大勢を占めるなかで、未来を肯定する気概を持ち、
みずからの将来を切り拓く覚悟を持った音楽が、ロバート・ランドルフのゴスペルであり、
ロバートはPファンクも通過したブラック・ミュージックの正統なる継承者と信じます。
Robert Randolph & The Family Band "LICKETY SPLIT" Blue Note/Dare B001857302 (2013)
Robert Randolph & The Family Band "LIVE AT THE WETLANDS" Warner Bros./Dare 48375-2 (2002)
Robert Randolph & The Family Band "UNCLASSIFIED" Warner Bros./Dare 48472-2 (2003)
2013-12-08 00:00
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