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カンボジアの盆踊りポップス [東南アジア]

Rasmey Hang Meas 119.jpg   Rasmey Hang Meas 120.jpg

以前書いた記事が呼び水となったようで、10年以上昔のクメール・ポップのCDが、
どっさりエル・スールに入ってきました。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-10-16

件の記事で、「伝統系のアルバムは、クメール・ポップのメインストリームではないので、
プノンペンのCD屋にでも行って漁ってこない限り、
このテのアルバムは手に入りません(泣)。」と書きましたけれど、
エル・スールの原田さんがカンボジア音楽のダウンロード・サイトでサンプル試聴し、
クメール・ポップの大手レーベル、ラズメイ・ハング・メアスのカタログの中から、
伝統系ポップスだけを選りすぐってきたものなので、どのアイテムもハズレなし。
ごひいきのハム・スィーウォンはじめ、伝統系のヴェテラン男性歌手イアン・シトゥルや、
ダミ声のコミカルな芸人メアス・サランたちが歌う、10タイトルを手に入れることができました。

なかでも聴きものだったのが、もっとも伝統寄りの119番と120番。
トロー・チェー(胡弓)、チャペイ(弦楽器)、コーン・トム(環状ゴング)、クロイ(縦笛)、
チン(小シンバル)、太鼓などの伝統楽器をメインに、
打ち込みとベースが控えめに加わったサウンドで、
ロアム・ヴォンと呼ばれるカンボジアの盆踊りポップスを聞かせます。
ゆったりとしたテンポの田舎情緒を醸し出す穏やかな曲が並んでいて、
カンボジアの田園風景が目に浮かぶようですね。

Rasmey Hang Meas 91.jpg   Rasmey Hang Meas 92.jpg

91番と92番も同じくロアム・ヴォンを聞かせますが、
こちらは曲の雰囲気がだいぶ違い、哀愁のこもった曲が並んでいます。
泣きのメロディにカンボジア独特の味わいがあり、これぞクメール情歌という感じ。
バックでコーン・トム(環状ゴング)のかわりに、
サントゥールのような音が控えめに聞こえると思ったら、クゥムと呼ばれる楽器だそうで、
カンボジアにもチェンバロ系の楽器があることを初めて知りました。

Rasmey Hang Meas 128.jpg

もっと猥雑味のあるところでは、ダミ声のメアス・サランが活躍する128番が良かったな。
ロアム・ヴォンよりもっとテンポが早く、タイのポップ・モーラムみたいな雰囲気の大衆歌謡です。
胡弓が大きくフィーチャーされ、タイのソーみたいに聞こえるところもモーラムそっくりですね。
こうしたポップスはロアム・クヴァイと呼ばれているらしく、
ジャンル名がどれも踊り(ロアム)の名前というところが、踊り好きのカンボジア人らしいところ。

こうした伝統系ポップスもここ最近はほとんど作られていないようで、
10年以上も昔のカタログの中でしか見つけることができません。
最近ではロアム・クヴァイのプロダクションもウチコミ中心になり、
伝統楽器が登場することもなくなって、90年代のルークトゥンみたいな
凡庸サウンド一色になってしまったのは、なんとも残念です。

Him Sivorn, Eang Sithul, Yin Sarin, Nob Bayarith, Nouy Vanneth and Sokun Theary
"SANG SELCHEY PART 1" Rasmey Hang Meas Production 119
Nouy Vanneth, Him Sivorn, Sam Ath, Chherb Sa Rern and Touch Sreynech
"SANG SELCHEY PART 2" Rasmey Hang Meas Production 120
Eang Sithull, Him Sivon, Be Vannara and Som Art
"ANUSAVERY ANGKOR" Rasmey Hang Meas Production 91
Eang Sithull, Him Sivon, Be Vannara and Som Art
"ANUSAVERY ANGKOR 2" Rasmey Hang Meas Production 92
Meas Saran, Eang Sithul, Him Sivorn and Touch Sreynech
"KLARCH PAS PDEY KE" Rasmey Hang Meas Production 128
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