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シックなサナート メリエン・ゼンギン [西アジア]

Meryem Zengin  Ozur Dilerim.jpg
  わーい、全曲クリップを収録した
  DVD付きCDを手に入れちゃった。
  DVD付CDが発売になるとは、
  思ってもみませんでしたねえ。
  「残り物には福がある」、じゃないな、
  「急がば回れ」、いや、それも意味違うか。
  「待てば海路の日和あり」ですね。
  えっへっへー、
  初入荷分のCDを買い逃して、大正解でしたあ。

  トルコからまたも登場した
  古典歌謡サナートの新人、メリエン・ゼンギン。
  まー、なんて美人さんなんざんしょう。

なんでもデビュー前は高校で音楽の先生をやっていたそうで、
うわあ、毎日授業参観に通いたい!なんてアホなこと言ったりして。
エル・スール優良顧客のオヤジたちが飛びついたのもむべなるかななんですが、
ぼくが乗り遅れたのは、DVDに収録されているクリップを先に観てしまったせい。

メリエン姫の美しさはさておき、なんか歌が前に出てこないというか、押し出しが弱いというか。
サナートを歌う歌唱力があるのは十分わかるんですが、
するすると歌が左から右に流れてしまって、ひっかかりが全然ない。
ちょっと物足りなく思ってしまって、すぐ手が伸びなかったんですね。
そしたらすぐに売り切れてしまって、ありゃあ。
再入荷したら挑戦してみるかな、なんて思ってたらDVD付が入ってきたというわけです。

で、あらためて聴き直したものの、線が細いなあという第一印象は、変わらず。
DVDを観てよくわかったのは、メリエンのなめらかな歌いぶりに、まったく力が入っていないこと。
デビュー作という気負いなんて、まるでなし。
その平明で、力の抜けた歌いぶりがあまりにさりげなく、押し出しが弱く感じられたんですね。
メリエンのお顔立ちから、もっと妖艶な歌いぶりや色気を醸し出す人かと予想したんですが、
そういうタイプではないご様子。上品にして控えめなお人柄のようです。

DVD全10曲すべてお召替えで楽しませてくれるメリエンは、実にシック。
60年代の歌謡番組のようなセッティングで、適度に照明を落としたステージで歌う
ノスタルジックな佇まいは、なんとも麗しく、中高年オヤジのハートを射抜きます。
歌に合わせた手振りや身体を揺らすしぐさも、ほんのかすかなひそやかなもので、
この人の育ちの良さがうかがわれますねえ。

それにしても、次々とリリースされる新人女性歌手たちによるサナートの充実ぶりは、
主役たちの実力確かな歌いぶりはもちろんなんですけど、
それを支える伴奏の良さに聴きごたえがありますよね。
ストリングスたっぷりのゴージャスなオーケストレーションは昔ながらのようにも思えますが、
ゼキ・ミュレンが晩年の80~90年代と比べれば、アレンジ面で相当向上しています。

弦セクションや各楽器のパートを立体的に配置して、歌のメロディをくっきりと浮き彫りにし、
対位法を使った編曲を用いるなどデリケイトに書かれたスコアは、
かつてのべったりと重いオーケストレーションとは格段の差があります。
音楽監督で全曲の作曲者でもあるハリル・イズルメッキが、本作の影の主役ですね。
1曲メリエンとデュエットしているから、影でもないかな。
トランペットとトロンボーンの2管を加えた東欧風の曲なども楽しめる、シックなサナートです。

Meryem Zengin "ÖZÜR DİLERİM" Mimoza Müzik no number (2014)
コメント(2) 

コメント 2

ふじにぃ

はじめまして。

この歌手、素敵ですね。このアルバム欲しいです。
by ふじにぃ (2014-10-29 00:00) 

bunboni

はじめまして。
オフィス・サンビーニャから日本盤も出たので、ぜひどうぞ。
by bunboni (2014-10-29 06:29) 

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