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ソマリのネーネーズ・フロム・ケニヤ ガルガル [東アフリカ]

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冒頭、音程の怪しいシロウト丸出しな歌とコーラスが飛び出してきて、
いきなり腰が砕けそうになったんですけど、聴き進むうちに、
強度のある歌いっぷりにグイグイ引き込まれてしまいました。

ぶっきらぼうな無手勝流というか、こういうあけっぴろげな歌い口の強さは、
ムスリム女性の歌の特徴でもありますね。
4人がユニゾン・コーラスで迫ってくると、有無を言わさぬ迫力があります。
華やかな喉声も女声ならではの力強さで、胸をすきます。

ガルガルは、ケニヤ北東部ガリッサ県出身のソマリ人女性コーラス・グループ。
ソマリ人女性たちが、結婚式や収穫祭など「ハレ」の場や、
籠細工や編み物など日常の「ケ」の場で伝えてきた女声合唱の伝統を守ろうと、
03年に結成したグループだそうです。

ガリッサとナイロビを行き来しながら、2年間をかけて制作された本デビュー作は、
ポップなアレンジを施したグルーヴィーな演奏をバックに4人が歌うという、
従来のソマリ音楽とは一味も二味も違った趣向。
伝統守旧ではない、広く外に向けてアプローチしたアルバムで、
その爽やかさは、ネーネーズの名作『IKAWŪ』に匹敵します。

ソマリ音楽を特徴づけるカバーン(ソマリアのウード)を使わず、
ギター、ベース、キーボードによるプロダクションとしているところも、
あえて三線を排して、新しいオキナワン・ポップをクリエイトした『IKAWŪ』と
共通したネライを感じさせます。
シンプルなコール・アンド・レスポンスの曲も、
メロディアスな親しみやすさがポップ・センスに富んでいて、
タブラを使っているところも、サウンドのいいアクセントとなっています。

ケニヤのソマリ人というと、ダダーブのソマリア難民キャンプの話題ばかりが目立ち、
これまで音楽の話題に接したことがなかったので、
思いがけず嬉しいアルバムとの出会いとなりました。

Gargar "GARISSA EXPRESS" Ketebul Music no number (2010)
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