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血沸き肉躍るサイン・ワイン セイン・ボ・ティン [東南アジア]

Sein Bo Tint.jpg

サイン・ワイン奏者セイン・ムーターのCDをリリースしている、
ミャンマーのイースタン・カントリー・プロダクションのカタログに、
別のサインワイン奏者のCDがあるのを見つけ、手に入れました。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-08-02

ライナーに古い白黒写真が載っているセイン・ボ・ティンというこの人、
経歴がまったくわからないのですが、95年に亡くなった故人。
現役のセイン・ムーターより、もっと上の世代の演奏家で、
マーマーエーなどの伴奏も務めた、サイン・ワインの名手だったようです。

CDは2枚組で、1枚はサイン・ワインの楽団演奏。
編成は大人数ではなく、笛やチャルメラの入る曲と、
吹奏楽器なしで旋律打楽器と打楽器のみの曲とが半々ずつ収録されています。
セイン・ムーターのように、機材を完備したスタジオでレコーディングされたものではなく、
マイク数本で録ったようなライヴ感いっぱいの音質が、とてもナマナマしく響きます。

セイン・ムーターの複雑なコンポジションに比べると、
こちらはもっとストレイトというか、わかりやすい構成で曲が組み立てられていて、
演奏の方もアグレッシヴかつエキサイティング。
笛と旋律打楽器がユニゾンで演奏するパートが多く、
双方でかけあいをするパートが少ないのが、セイン・ムーターとの違いといえます。

同じサイン・ワイン演奏でも、リーダーのコンダククターが違うと、
こうも演奏の表情が変わるのかと実感させられますね。
緻密な構成を持つセイン・ムーターの演奏が、案外あっさり聞き流せてしまうのに比べ、
セイン・ボ・ティンのシンプルなわかりやすさは血沸き肉躍るというか、ドライヴ感満点で、
ロック・ファンにもアピールするんじゃないかなあ。

一方、もう1枚のディスクは、36分54秒に及ぶサイン・ワインのソロ演奏1曲のみを収録。
こちらは即興演奏のようですが、これまた手に汗握る快演。
リズム・キーパー役の小シンバル、リン・グィンだけが伴奏に付いているんですけど、
変幻自在に拍を伸び縮みさせて演奏するセイン・ボ・ティンに付いていくのがやっとで、
リズム・キーパーの役に立っておらず、効果音のように聞こえるのが面白い。
初めて聴く人にも親しみやすい、サイン・ワインの名盤です。

Sein Bo Tint "PWEL HTAING TEE LONE MYAR TA KO TAW LET SWAN PYA" Eastern Country Production ECP-N10
コメント(2) 

コメント 2

nishiokov

いつも楽しみに拝見しております.
サイン・ムーターやその他のサイン・ワインのCDが欲しいのですが,昨年買い逃して以来日本のお店で見かけません.bunboniさんはどのように入手しておられるのですか?
by nishiokov (2014-11-03 00:27) 

bunboni

渋谷のEl Sur Records で買っていますが、最近はミャンマーに買い付けに行く人がないようで、ごぶさたです。このセイン・ボ・ティンはどなたかが処分した中古を新宿のディスクユニオンで買いました。
by bunboni (2014-11-03 00:46) 

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