ヴィニシウスのDNAを受け継いだ孫娘 マリアーナ・ジ・モライス [ブラジル]
出だしの1曲目がキューバの「タブー」というのに、まず驚かされます。
ヴィニシウス・ジ・モライスの孫娘、マリアーナ・ジ・モライスの新作です。
マルガリータ・レクォーナ作の「タブー」については、
バタのアンサンブルを取り入れて、サンテリアとカンドンブレを繋ぐ意図が感じられ、
バイーアからキューバとアフリカを望んだともいえる仕上がりを見せています。
ほかには、祖父ヴィニシウスにドリヴァル・カイーミ、カエターノ・ヴェローゾ、ルイス・メロジア、
さらに今や大人気のアドリアーナ・カルカニョット(個人的には興味なし)までと、
時代もジャンルもさまざまなカヴァー・ナンバーを取り上げて歌っています。
往年のサンバ・カンソーン歌手アラーシ・ジ・アルメイダが歌った
“Engomadinho” を取り上げたりと、その選曲センスは深いものがありますね。
プロダクションがまたしっかりしていて、知的なアプローチが頭でっかちにならず、
しなやかさのある柔らかなサウンドで、親しみやすく仕上げられています。
耳に心地よいサウンドの皮を一枚めくれば、
そこにはアフロ・ブラジル文化の古層が横たわっているんですね。
ドミンギーニョスのサンフォーナにピファノをフィーチャーしたバイオーン、
アフロヘギのパーカッション・アンサンブルをバックに歌った曲も、
伝統的な印象は薄く、かくし味にまぶしたエレクトロニクスが洗練された印象を残します。
音楽監督はジョゼ・ミゲル・ヴィスニッキ、プロデュースはアレ・シケイラとマルセロ・コスタ。
はじめて知る名前ばかりですが、才人揃いとお見受けします。
マリアーナの気負いのない自然なたたずまいの歌いぶりも好ましく、
アフロ・ブラジル文化を見直したヴィニシウスのDNAを受け継いだ音楽性を発揮しています。
Mariana De Morais "DESEJO" Biscoito Fino BF311-2 (2014)
2014-11-07 00:00
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