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フラメンコから大西洋を臨む ラウル・ロドリゲス

Raúl Rodríguez.jpg

もう1冊届いた本が、トレス・フラメンコという初めて聴く音楽でした。

名門セビージャ大学で歴史学、文化人類学、地政学を学んだラウル・ロドリゲスは、
文化人類学者でもあるという学研肌の音楽家。
90年代にフラメンコ・ファンク・ロック・バンドでプロ入りしたという経歴も異色ですけれど、
なんといってもビックリなのは、母親があのマルティリオだということ。

セビジャーナス歌手のなかでも異色中の異色として、ご記憶の方も多いですよね。
歌詞の主人公になりきった扮装で、ミュージカルのように歌うのを得意としていた人です。
エキセントリックなコスプレの俗悪趣味で、大衆音楽の一面をよく表した人でもありましたが、
その息子がこんな学究肌の体質の音楽家に育つのだから、世間は面白いもんです。

フラメンコのルーツを掘り下げて、アラブ、インドなどの東方へ目を向けた音楽家に
エル・レブリハーノがいましたけれど、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2010-12-20
逆に大西洋へと目をつけたところが、ラウルの本作の白眉といえます。
ヨーロッパから渡った舞曲が、カリブや中南米で新たなスタイルとして生まれ変わったことを、
スペインの側から見直して、アンダルシア音楽文化の遺産を新たに掘り起こそうとしたんですね。

そんな試みを、ラウルはトレス・フラメンコという楽器を弾いて、見事に結実させました。
トレス・フラメンコとは、キューバのトレスをもとに、フラメンコも演奏できるように
ラウルが改造した楽器で、フラメンコとキューバのソンを鮮やかに融合させています。
クーロと呼ばれる、アンダルシアからハバナに渡った自由黒人やムラートたちの音楽を
想像して作った曲など、ラウルが20年に渡って探究してきた成果が、
きちんと血肉化して音楽の筋肉となっているところが頼もしいですね。

壮大な歴史学的なテーマを扱いながら、肉体感に富んだ豊かな音楽が、ここにはあります。

Raúl Rodríguez "RAZÓN DE SON" Fol Música 100FOL1079 (2014)
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