エペの思い出 リガリ・ムカイバ [西アフリカ]
少し前、エル・スール・レコーズの新入荷のページに、
ナイジェリア、アパラのシンガー、リガリ・ムカイバが載っていましたね。
それを見て、リガリ・ムカイバもなんとか『ポップ・アフリカ800』に入れられないかと、
ページ割りを検討したものの、涙をのんだことを思い出しました。
リガリ・ムカイバは24年生まれ、45年から歌手活動を始め、
5歳年上にあたるハルナ・イショラと同時代に活躍したアパラ・シンガーです。
ハルナ・イショラやアインラ・オモウラのようなトップ・シンガーに比べれば、
格下であることは否めませんけれど、
ハイ・トーンのからっとした声で歌う枯れた味わいのあるアパラは、
ハルナともアインラとも異なる個性の持ち主で、忘れられないシンガーです。
その昔デッカのシングル盤を入手してリガリ・ムカイバの名前を知り、
その後アフロディジアから出たLPを見つけたことを思い出します。
リガリ・ムカイバのレコードはけっこうCD化されていて、手元に11タイトルありますが、
『ポップ・アフリカ800』の候補にしていたのが“ILA EPE” でした。
アギディボや小物打楽器など厚みのあるパーカッション・アンサンブルが
大きくうねるようにスウィングし、ずっしりと重いリズムの合間を、
リード・トーキング・ドラムがタメの効いたビートを打ち出す名盤です。
リガリのアルバムは、起伏の乏しい単調なものも多いんですけれど、
“ILA EPE” や“VOL.7 : OTITO ORO” “GASIKIYA NI” あたりは名作といえます。
(原田さん、Gに上記3枚を買い付けてくるよう言っておいてください←業務連絡)
リガリ・ムカイバは、レゴス東部70キロの地点にある漁師街エペに生まれました。
リガリの父親も漁師だったようですね。
エペは、90年に仕事でナイジェリアへひと月行った折りに、訪れたことがあります。
殺気だった大都市のレゴスとは大違いの、のんびりとした田舎町でした。
レゴスの町中でカメラを人に向けようものなら、半殺しの目に遭いますけど(いや、マジで)、
エペでは人々が屈託のない笑顔をみせてくれます。
ラグーンでは舟にも乗せてもらいました。
船底の浅い手こぎ舟がこわかったのなんのって。
細長い舟が左に右にと大きく揺れて、落っこちそうになるんですけど、
女性が悠然と立って漕ぐのには感心させられました。
魚市場では、たくさんの魚と一緒に、ワニを売っていたのにも驚いたなあ。
食用ワニはエペの特産品だったらしいんですけど、残念ながら食する機会はありませんでした。
今ではそのエペも開発が進んで、ホテルが何軒も立つリゾート地になっているのだとか。
きっとあの頃とは、がらりと変わってしまったんだろうなあ。
[EP] Ligali Mukaiba "LIGALI MUKAIBA AND HIS GROUP" Decca WAX136
Alade Ligali Mukaiba & His Apala Group "ILA EPE" Afrodisia WAPS313
Ligali Mukaiba & His Apala Group "VOL.7 : OTITO ORO" Gasola Nig. Ltd. SOSC135
Ligali Mukaiba & His Apala Group "GASIKIYA NI" Gasola Nig. Ltd. SOSC305
2015-02-07 00:00
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