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地産地消されるマラガシ・ポップ ラダマ・アントワーヌ [インド洋]

Radama Antoine  Ry Malala.jpg

今回手に入れたマダガスカル盤のディスクは、すべてCD-R。
インレイ、ディスクがちゃんと印刷されているCDが3分の1、
ソフトケース仕様のCDが3分の1、
インレイもレーベルも家庭用のジェットプリンターで印刷した
ホームメイドCDが3分の1といったところで、
正直、この粗製CDじゃ、海外で販売しようにも、輸入業者は扱わないでしょうねえ。
先月入手したセネガル盤もほぼ全部CD-Rでしたけど、
パッケージのクオリティは一応ちゃんとしてたもんなあ。

というわけで、地産地消されるのみの、国外には知られぬままのマラガシ・ポップ。
かつてのワールド・ミュージック・ブーム時代には、
ヘンリー・カイザーとデヴィッド・リンドリーが水先案内人を務めたり、
フランスのコバルトがマダガスカルのさまざまな音楽を紹介していましたけれど、
それも今や昔。またもミュージック・リスナーにとって、秘境の地に戻った感があります。

マダガスカル音楽の記事連投の最後にご紹介するのも、そんな現地仕様の1枚。
ソフトケース入りの粗製CDで、ミャンマーやカンボジアのCDソフトケースより一回り小さく、
ディスク1枚ぎりぎり入る四角形のサイズ。
そのボロっちさにタメ息ももれますが、
現地の人にとっては、このCDだって、けっして安い値段ではないはず。

聴く前から、いろいろ考えさせられてしまいますが、
ラダマ・アントワーヌとは、ジャケットにも写るギタリスト兼作曲家の名前。
タリカ・ラダマ・アントワーヌのタリカ(グループの意)を省いて、グループ名にもしていて、
脇に写る奥さんのハガが歌手を務めています。

中央高原南部フィアナランツォアのグループのようで、ラダマが弾くギターのほか、
ベース、シンセサイザー、ドラムスにサックス2人が加わった7人編成のようです。
「ようで」を連発して恐縮ですが、クレジットはないし、情報がなくてよくわからないのですよ。
軽快なハチロクに加え、歌謡調ポップスも歌っているところが、
中央高原のグループらしいところ。
ハガのヴォーカルがさわやかで、メンバーとのハーモニーも飾らない素朴な美しさがあり、
とても気持ちよく聞けます。

ヴァリーハなどの伝統楽器を使用せず、普通のギター・バンド編成ながら、
マダガスカルらしさを溢れさせているところがこのグループの良さで、
とりわけ、シンセのセンスがいいのには感心させられました。
アフリカのローカル・ポップスのダメさが、シンセの使い方にあるといっても過言でないので、
このグループのシンセ奏者のパートごとに音色を使い分ける的確さは、花丸もの。

べったりと和音でスペースを埋めるようなことをせず、サウンドに適度なスキマを与え、
アコーディオンやヴァイオリンの音色を模したりしながら、華やかに盛り立てています。
サックスの使い方も効果的で、こういったサウンドの組み立てが全くできない、
今のナイジェリアのフジのミュージシャンたちに、これをお手本に聴かせてやりたくなりますね。

Radama Antoine "RY MALANA" S’Peed Pro/Super Music Pro/Mada Pro no number
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