ジャズ・ザ・ニュー・チャプター・イン・インドネシア デワ・ブジャナ [東南アジア]
エスニック・フュージョン?
やめようよ、そんな言い方。
「エスニック」も「フュージョン」もネガティヴなイメージが強すぎて、
そんなコピーを見ただけで、背を向けちゃう人が大勢いそう。
せめてジャズ・ロックと言ってほしかったなあ。
これ、一級品のコンテンポラリー・ジャズです。
イマドキのキャッチを借りれば、インドネシア版JTNCかな。
なんたって、あーた、ドラムスがアントニオ・サンチェスで、
ベースがベン・ウィリアムズの黄金コンビですよ。
ていうか、ぼくもこの二人が参加していると知って、興味がわいたんですけどね。
主役のデワ・ブジャナというギタリストは、まったく存じ上げませんでした。
なんでもデワ・ブジャナは、インドネシアの人気ロック・バンド、ギギのリーダーだとか。
すみません。ロックには興味がないもんで、ギギというバンドも知らず、
ご本人がどんなギターを弾いているのか知りませんが、
ジャズを出自とするタイプとは明らかに異なる、ロック系ギタリストらしいプレイを聞かせます。
デワはこれまでもアメリカのフュージョン・プレイヤーなどとセッションを重ねて、
ギター・アルバムを制作してきたとのこと。
本作はパット・メセニー・グループのリズム・セクションに、
コンテンポラリー・ジャズ・シーン最高のヴァイブ奏者ジョー・ロックを迎えてのレコーディングで、
このツワモノ3人と渡り合えるだけあって、デワの実力は確かです。
とはいえ、4人のプレイで耳をそばだてられるのは、
圧倒的にアントニオ・サンチェスのドラミング。
ダイナミックにして繊細。
ポリリズムを重量感たっぷりに叩きわける力量には、いつも感嘆してしまいます。
主役のデワについては、ギター・プレイより、作編曲の能力に惹かれました。
民俗色を生かしたスケールの大きな曲を書く人で、
雄大な楽想が、実力プレイヤーたちにのびのびとプレイする場を与えているかのようです。
こういうタイプのアジア系コンテンポラリー・ジャズ・ギタリストといえば、
ヴェトナム系フランス人のグエン・レが、間違いなく最高峰でしょう。
ソロの構成力、独自のヴォイシングが示すハーモニー・センス、整合性のあるサウンド、
個性豊かな多国籍メンバーとプレイしても、
自身のヴェトナムのルーツをアピールできる確固たる個性の強さは圧倒的。
デワ・ブジャナも、グエンの才能に並ぶとはいえないまでも、
インドネシアにも同じベクトルを持つギタリストがいることを世に示した快作です。
Dewa Budjana "HASTA KARMA" Moonjune MJR070 (2015)
2015-06-19 00:00
コメント(1)
ポップ・インドネシアが好きで、GIGI は10年以上前から聴いてます。GIGI のボーカルはセクシーな歌声で、好きなインドネシア人歌手ですが、
https://youtu.be/hq_6inczO4s (←Sahur Tiba / GIGI の宗教歌アルバム「Pintu Sorga」より)
GIGI のギタリストがソロアルバムを出していたとは、知りませんでした。
GIGI とは違う音楽なんですね、聴いてみたいと思います。
by 馨 (2016-11-27 03:13)