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原点は真摯さ スコイル・ヒル・ナ・ゲイラック [ブリテン諸島]

Sgoil Chiùil na Gàidhealtachd.jpg

自分が年を取ったからいうわけじゃないけど、
若者の真摯さは、なにものにも代えがたい価値があると、心底から思います。
経験を積み重ねて得る成熟も、出発点にあった真摯さが継続できなければ、
手練れの腐臭にすぐまみれ、老獪に堕してしまうもの。
みずみずしい感性を失わず、創作活動を続けられるかどうかは、
創作を志した若き日のトキメキを、どれだけ維持できるかにかかっています。
それはなかなか困難なことでもあり、多くの人が見失ってしまうものでもありますね。

スコットランド西海岸、プロクトン高校のスコイル・ヒル・ナ・ゲイラックというコースで、
伝統音楽を学ぶ高校生たちによって制作されたアルバムの、
これが高校生?とびっくりするような演奏を聴きながら、
思わずそんなことを考えさせられたのでした。
なんでもこのコースは00年に開講され、02年に最初のアルバムを制作して以来、
毎年アルバムをリリースしているとのこと。卒業制作アルバムのようですね。

スコットランドでは、学校教育を通して、伝統音楽が継承されているんですねえ。
こんなCDが出ているのを今回初めて知り、ウェブ・サイトをのぞいてみたところ、
これまでに制作されたアルバムがずらりと並んでいました。
真摯な演奏と歌いぶりにぐいぐいと引き付けられ、
心を揺さぶられずにはおれませんでした。

達者な演奏とはいえ、確かに生硬さは否めませんし、
半数を占める歌の方も、みずみずしさいっぱいでありつつも、
子供の発表会を客席でドキドキしながら聴くような、親のような気分にもなります。
でも、だからこその音楽の尊さが、ここには100%詰まっていますね。

伝統音楽を愛し、真正面から向き合って真剣に学んできた若者たちが、
その成果を披露するおそらく初のレコーディング。
その緊張感に満ちた彼らの心臓の鼓動が伝わってくる演唱は、
俗に「デビュー作こそ最高作」といわれる、初志のすべてが詰まっているのを感じます。
ここに、明日のジュリー・ファウリスやイゾベル・アン・マーチンがいるのを実感できますよ。

Sgoil Chiùil na Gàidhealtachd "TOP OF THE CROPS" Sgoil Chiùil na Gàidhealtachd SCGCD014D (2014)
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