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マリネーラ愛 フリエ・フレウンド [南アメリカ]

Julie Freundt  ARINERA VIVA.jpg

なつかしや、フリエ・フレウンド。
クリオージョ音楽は、濃い口の歌手でこそ聴き応えがある、な~んて言ってたそばから、
フリエちゃんのアイドル声もたまんないんっす、なぞとやにさがるワタクシであります。

いやー、変わんないねぇ。とってもかわいい、その歌声♡
「かわいい」なんていう歳では、すでにないはずですけれど、
歌いぶりのチャーミングさは、90年のデビュー作からちっとも変わっていない。
だいたいこのキュートな歌声で、オーセンティックなクリオージョ音楽や
アフロペルー音楽を歌い続けてきたんだから、変わり種というか、なんというか。

リマのペーニャのような大衆的な味わいを持つ歌手とは出自がぜんぜん違う、
育ちのいい山の手のお嬢さんのような雰囲気は、
てやんでぇ、そんな声でバルスが歌えるもんかい、とケチをつけたくなるところなんですけど、
なぜかこの人は、昔から憎めなかったんだよなあ。

その清廉な雰囲気というか、およそ下町庶民とは育ちの違う人ながら、
伝統的なペルー音楽と真摯に向き合い、愛情を注ぎこんできたことの伝わってくる歌声は、
とても共感できたんですよねえ。
同じように、真摯にアフロペルー音楽に向き合ってきた人で、
フリエ以上に学究的というか、インテリ・タイプのスサナ・バカがいますけど、
ぼくはスサナ・バカは受け入れられませんでした。

だって、スサナ・バカの歌って、味もへったくれもないじゃないですか。
さらに、サウンドづくりの観念的なところなど、
あー、インテリはこれだからなあと、鼻白んじゃうんですよねえ。
知的な外国人にはウケても、リマの庶民からは支持されないタイプというか、
メルセデス・ソーサあたりと似た立ち位置の人って感じがしますね。
あ、ぼくは、メルセデス・ソーサも大の苦手です。

一方、もっとポピュラー寄りの人に、タニア・リベルタなんて歌手もいて、
アフロペルー音楽に挑戦したアルバムを出してたんですけど、これまたぼくはダメ。
素材として取り上げているだけなのが見え透いていて、シラけるんですよ。
フリエ・フレウンドの歌だって、伝統的な歌い回しとは全然違う淡泊な歌いぶりなのに、
それでもなお彼女に魅力を感じる理由は、伝統音楽に対する愛情が、
きちんとこちらに伝わってくるからだと思います。

新作はマリネーラ集。
マリネーラ・リメーニャとマリネーラ・ノルテーニャの両方を歌っていて、
ノルテーニャではサックスをちゃんと使っているところが盛り上がりますねえ。
面白いのは、楽譜集とセットになっていることで、全曲の譜面に合わせて、
マリネーラとトンデーロの解説が載っています。

チャブーカ・グランダの“Fina Estampa”のチャーミングな歌いぶりなんて、
まさにフリエ・フレウンドならではといったところで、すっかりお気に入りとなっています。

Julie Freundt "ARINERA VIVA" Acordes Producciones no number (2015)
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