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ラテンとサルサの違い ルベーン・ブラデス [中央アメリカ]

Rubén Blades   SALSA BIG BAND.jpg

ひさしぶりのルベーン・ブラデスに、
「いいじゃん、いいじゃん」と盛り上がった前作。
(そのわりにイヤミな書きっぷりになりましたが)
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-05-01

はや新作が届くとは、精力的ですねえ。
というか、前作が2年遅れで入ってきたからでもあるんですが、
今回も、パナマのロベルト・デルガード率いるオルケスタが伴奏を務めています。
『サルサ・ビッグ・バンド』のタイトルどおり、
トロンボーン×3、トランペット×2、サックスを擁していて、
重厚でパワフルなサウンドというより、アレンジの妙でヌケのいいサウンドを
聞かせてくれるのが、このオルケスタの特徴ですね。

今回聴いていて、あらためて思ったのは、
ルベーンって、サルサの歌手だなあということ。
特にスローを歌うと、明らかなんですけれど、
ボレーロといった雰囲気がぜんぜん出てこないんですよね、ルベーンの歌って。
むしろ、ロックやソウルのシンガーが歌う、バラードやスローに近い感覚。
そこに、ブーガルーを通過した世代特有のセンスを感じます。

今思えば、チェオ・フェリシアーノとの共演作でも、
その歌いぶりの差は歴然としてましたね。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-06-14
チェオ・フェリシアーノもサルサ時代に活躍したサルサを代表するシンガーとはいえ、
その歌いぶりやセンス、味わいは、伝統的なラテンの美学を引き継いだものでした。
でも、ルベーンは違いますね。ルベーンにラテンの美学はない。
だからこそ、のちにロック的なセイス・デル・ソラールに向かったのは、
自然なことだったんでしょう。

今作はスロー・ナンバーが多いので、余計にそんなことを感じたわけなんですが、
70年の“DE PANAMÁ A NEW YORK” で歌った“El Pescador” の再演では、
前半をフォー・ビートにアレンジしてジャジーに歌っていて、
オリジナルのトロンバンガ・サウンドのスロー・バラードとは
また違った趣を醸し出しています。
いずれにせよ、その世界観は、ボレーロとは別物といえますね。

Rubén Blades - Roberto Delgado & Orquesta "SALSA BIG BAND" Rubén Blades Productions no number (2017)
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