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世界に誇れる日本初のアフリカン・ヴィンテージ・ボックス [西アフリカ]

Palmwine Music Of Ghana.jpg

3年越しのリイシュー・ワーク、ついに完成!
待たされただけのことはある、アフリカ音楽遺産のスゴイ復刻がついに登場です!!
パームワイン・ミュージックからギター・バンド・ハイライフに至る道のりを
深沢美樹さんが所有するSPコレクションから選曲して、2枚のCDに収めたボックス。
これは世界中のアフリカ音楽マニアをウナらせること、必至でしょう。

いやぁ、ついに出来ちゃいましたねえ。
6年前、ダスト=トゥ=デジタルからリリースされた、
ジョナサン・ウォードのアフリカ音楽のSPコレクション集
“OPIKA PENDE : AFRICA AT 78RPM” にも匹敵するボックスで、
日本にもスゴいコレクターがいるんだぞってことを、世界に証明したってなもんです。
深沢美樹さんの名前、世界にとどろきますね。

深沢さん渾身の解説も超充実。
パームワイン・ミュージック成立の歴史を解説するなかで、
新大陸アメリカやカリブ海から持ち込まれた音楽を、
「帰還者系音楽」と称されたのは、とても示唆に富む指摘です。

たとえば、ここに収録されていない
ザ・ウェスト・アフリカン・インストゥルメンタル・クインテットの29年録音を聞くと、
当時の西アフリカ沿岸のギター・ミュージックには、
カリブ海からの帰還者が持ち込んだストリングス・アンサンブルや
リズムの影響が色濃かったことがわかりますからね。
ただ、そうしたギター・ミュージックは、パームワイン・ミュージックに比べて
ぜんぜん魅力がなく、だから深沢さんもこのボックスにはいっさい選曲していません。

また、よく混同して書かれるパームワイン・ミュージックとハイライフについても、
本来異なる出自であることを解説したうえで、
なぜ混同されるのかという原因にも触れながら、
両者のややこしい関係を丁寧に説いているところは、さすが深沢さんです。
そのうえで、パームワイン・ミュージックを指してハイライフと言うのは、
「アメリカの黒人音楽はすべて『ジャズ』と言っているようなもの」と
クギをさすのも忘れていなくて、読みながら思わず大きくうなずいてしまいました。

個人的に目ウロコだったのは、名ギタリストのK・グヤシ K Gyasi のカナ読みを、
K・ジャシと訂正されていたこと。
そういえば、Gyedu Blay Ambolley をジェドゥ・ブレイ・アンボリーと読んでたのに、
なんでいままで気付かなかったんだろう。
「グヤシ」という読みにずっと違和感を持っていたので、長年の疑問が氷解しました。
アカンの神々のシンボルとして有名なGye Nyame も、
ジ・ニヤメ(一般に「ジニャメ」と書かれる)と読むもんねえ。

そして、内容の方も、サムことクワメ・アサレのディスク1の1曲目から、
その生々しいギターとヴォーカルに、もうドキドキ。
実は、選曲段階で、このSP原盤の音を聞かせてもらったとき、
あまりにノイズが酷くて、「これは無理なんじゃないの」と言ったことがあるだけに、
このリマスタリングの仕上がりは、アンビリーヴァブル。

この神がかりなリマスターをしたのは、森田潤さん。
単にノイズを取り除くなんてレヴェルを超越した
エンジニアリングの手腕は、ほんとにスゴイ。
スクラッチ・ノイズだけでなく、ホワイト・ノイズを丁寧に除去したうえに、
もともと滅茶苦茶に音割れしていたヴォーカルの箇所をひとつひとつ補正して、
本来こうであったろうという音像を、想像力を働かせながら、
蘇らせたというのだから、頭が下がります。

吉岡修さんのボックス・デザインもサイコーですね。
当初のラフ案は、もっとアジアン・テイストのデザインで、
う~ん、吉岡さん、インドネシア音楽コレクター魂が抜けてないなあ、
なんて笑っていたんですけど、軌道修正を繰り返して、
ファイナルは見事、西アフリカ・ムード溢れるものに仕上がりました。

拍子木が取るリズムが三つ打ちからクラーベに変わる様子や、
ギターばかりでなく、コンサーティーナやパーカッションのみの伴奏のものなど、
パームワイン・ミュージックのヴァリエーションにも目を見張らされました。
クワー・メンサーなんて、これまでみくびってたけど、
こりゃ再評価しなきゃいけませんね。
E・K・ニヤメのジャイヴなんて珍品もあって、
聴きどころを書きだしたら、もうキリがありません。

選曲・解説・音質・デザイン、どこを取ってもスキなく作られた、
日本初の個人コレクションによる、アフリカン・ヴィンテージ時代の本格的リイシュー、
本日発売です。

V.A. 「PALMWINE MUSIC OF GHANA, FROM PALMWINE MUSIC TO GUITAR BAND HIGHLIFE」 El Sur 008
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