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苦味あるソダーデ ティト・パリス [西アフリカ]

Tito Paris  MIM Ê BÔ.jpg   Tito Paris  Guilhermina.jpg

ティト・パリスの新作 !?
うわー、ずいぶん久しぶりだなあ。
02年の“GUIHERMINA” は傑作だったよねえ。
え? あれ以来のスタジオ作になるの? それじゃあ、15年ぶりじゃない。

ティト・パリスは、カーボ・ヴェルデのシンガー・ソングライター。
若い頃からギタリストとして才覚を表した人で、
19歳の時、セザリア・エヴォーラのバンド・メンバーに選抜され、
バンド・リーダーのカヴァキーニョ奏者バウとともにリスボンへ渡っています。
セザリアのバンドでは、本人の希望でベースを担当していたんでしたね。

ひび割れた、ちょっとクセのある声がいいんですよ。
哀愁味あるモルナによく似合うんだな。
スローばかりでなく、コラデイラやフナナーのアップでも、いい味を出しています。
ストリングス・セクションやホーン・セクションも惜しげなく使って、
エレガントなクレオール・ミュージックを聞かせてくれています。

聴きどころは、大先輩の歌手バナと一緒に歌ったB・レザのカヴァーでしょうか。
バナは、パリスがポルトガルに渡るきっかけとなった、
セザリア・エヴォーラをリスボンに招いた人物で、
パリスはバナとも一緒に演奏し、ソロ活動に転じるまで、バナの世話になったんですね。

バナは13年に81歳で亡くなっているので、いつ録音しておいたのかな。
録音年月のクレジットがありませんが、バナ節というべき歌声に衰えは感じません。
正直、ぼくは苦手とする歌手なんですけど、友情出演といった起用で、
パリスにとって、お世話になった大先輩への恩返しになったんじゃないでしょうか。

苦味あるソダーデをたたえた歌声をアクースティックな伴奏に包み込み、
カーボ・ヴェルデらしい哀愁味を鮮やかに引き出した、ティト・パリスの円熟の一枚です。

Tito Paris "MIM Ê BÔ" Ruela Music/Sony 88985450062 (2017)
Tito Paris "GUILHERMINA" EmArcy Classics/Universal 472282-2 (2002)
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