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マサダ・ブック2最終章 メアリー・ハルヴァーソン [北アメリカ]

Mary Halvorson Quartet  PAIMON.jpg

去年の夏、メアリー・ハルヴァーソンを知って大ファンになり、
ファイアーハウス・12の過去作を一気にまとめ買いし、
一時期メアリーのギター漬けとなる日々が続いておりました。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-08-13

何かのきっかけで、すでにキャリアのある人に惚れ込み、
その後その人の旧作をいろいろ聴いたところで、
出会いのアルバム以上のものはないというのが、長年の経験則なので、
こういうことはめったにしないんですけれど、勘が働いたんですねえ。
メアリーに関しては、過去作をさかのぼって聴いて、大収穫でした。

そしてこの新作、いつものレーベル、ファイアーハウス・12からではなく、
ツァッディークから出たんですね。
ジョン・ゾーンのマサダ・プロジェクト第2弾として04年からスタートした、
ブック・オヴ・エンジェルズ・シリーズの32作目を数える作品で、
なんと本作をもって、マサダ・ブック2は完結したんだそうです。
う~ん、もう13年もやってきたのか。
音楽家に限らず、こういう継続力のある作家に、ぼくはとても共感します。

メアリーもマサダの長年のファンだったそうで、
最終章を締めくくるのに、最適の人選だったといえるんじゃないでしょうか。
今回は、メアリーともう一人のギタリスト、マイルス・オカザキに、
トマス・フジワラのドラムス、ドリュー・グレスのベースというカルテット編成。
メアリーと相性の良いトマス・フジワラとのコンビネーションもバッチリなんですが、
今回の聴きものは、なんといってもマイルス・オカザキとのインタープレイ。

メアリーはディレイなどのエフェクトを多用する一方、
オカザキはエコーを使う程度のナチュラルなトーンで弾いていて、
その違いが、とてもスリリングな効果を生み出しているんですね。
オカザキが引き立て役に回るのでなく、
メアリーとイーヴンで絡み合うところが、いいんです。

特にオカザキのバックに回って、メアリーが散発的なフレーズをかましたり、
濁ったトレモロを繰り出したり、歪んだ音の壁を作ったりと、
メアリーが前面に出る時より、オカザキの裏に回った時のプレイが
すごくイマジネイティヴで、刺激的なんですよ。

そして、メアリーのトレードマークで、
♪ きゅ~ぅ~ん ♪ という、子犬が甘え吠えしてるみたいなチョーキングをしたり、
緊張を一気に脱力させる ♪ ぴよ~~ん ♪ というリックを繰り出したりと、
アヴァンギャルドやフリーにあるまじきなオチャメなプレイが、たまらんのです。

Mary Halvorson Quartet "PAIMON : MASADA BOOK 2 - BOOK OF ANGELS VOL.32" Tzadik TZ8356 (2017)
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