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キューバン・クレズマー ロナルド・フアン・ロドリゲス [カリブ海]

Roberto Rodriguez  TIMBA TALMUD.jpg

ジョン・ゾーンのレーベル、ツァッディークから、
キューバ音楽のアルバムが出ていたなんて、知りませんでしたねえ。
ハバナ出身の作曲家でパーカッショニストのロナルド・フアン・ロドリゲスのアルバムが、
「ラディカル・ジューイッシュ・カルチャー」シリーズから、
4作出ていることに気づいたんですが、
そのうちの09年作“TIMBA TALMUD” が素晴らしいんですよ。

キューバ音楽にクレズマーのメロディを融合させた作品と、
一言で言ってしまえば、それで終わりなんですが、
その音楽の魅惑的なことといったら、悶絶もので、
エキゾティズムこれに極まれりといったアルバムに仕上がっています。

主役のロナルド・フアン・ロドリゲスのパーカッションに、クラリネット、ヴァイオリン、
ピアノ兼アコーディオ兼オルガン、ベース、コンガ兼ボンゴの6人編成で、
曲によって、ギター、フルート、トランペット、トレスの4人がゲスト参加しています。

主役のロナルド・フアン・ロドリゲスって、どういう人なのかと思いきや、
マーク・リーボウと偽キューバ人たちの一員だった人なんですね。
えぇ?と思って、話題を呼んだ98年と00年の両方のアルバムを
引っ張り出してみたら、なるほどドラムス、パーカッションを担当していました。

ツァッディークにつながるのも、マーク・リーボウとやってた人なら、
なるほど不思議じゃないですね。
父親のロベルト・ルイス・ロドリゲスがプロのトランペッターで、
父親とともに13歳の時からカチャーオのバンドで演奏してきたというのだから、
輝かしい経歴の持ち主です。

クラリネットはクレズマーを奏でるのにはなくてはならないし、
ヴァイオリンはチャランガのムードを醸し出すのに絶好という楽器の選択も確かで、
ゲストのエレクトリック・ギターのエフェクトが、さらに妖しさを増しています。
ロナルドが書く曲も、ソン・モントゥーノ、グアラーチャ、チャチャチャ、
ダンソーン、ボレーロ、メレンゲとカラフルで、1曲他人の曲をやっているのが、
アルジェリア、オラン生まれのユダヤ系ピアニスト、
モーリス・エル・メディオニの名曲「オラン・オラン」というのも、見事にハマってますね。

Roberto Rodriguez  EL DANZON DE MOISES.jpg

あまりの完成度にびっくりして、
05年作の“EL DANZON DE MOISES” も聴いてみたんですが、
こちらはよりダンソーンなど古風なスタイルを中心にやっていて、ベクトルはおんなじ。
より完成度をあげたのが、09年作といえそうなんですけれど、
こちらはピアノがクレイグ・テイボーンだってところに、
おおっという反応を示す人がいるかな。
09年作のメンバーとは一人もカブっていなくて、
トランペッターのお父さん、ロベルト・ルイス・ロドリゲスが参加しています。

キップ・ハンラハンみたいなハイブリッドな音楽が苦手な当方には、
キューバ音楽とクレズマーを素直に融合させた、その実直さに共感を持ちます。
だからこそ、世間の注目は浴びないわけなんだけど、出会えてよかった。
これまで話題にすらならなかったキューバ音楽の異色作、大事な愛顧盤になりそうです。

Roberto Rodriguez "TIMBA TALMUD" Tzadik TZ8140 (2009)
Roberto Rodriguez "EL DANZON DE MOISES" Tzadik TZ7158 (2005)
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