バス・トロンボニスト・フロム・ヴァージニア レジナルド・チャップマン [北アメリカ]
こりゃあ、いい!
トロンボーン5管が分厚いソリを聞かせるソウル・ジャズ。
主役は、リッチモンドを拠点に活動するブラス・ファンク・バンド、
ノー・BS!・ブラス・バンドで活躍するバス・トロンボニストのレジナルド・チャップマン。
本作がデビュー・ソロ作という、ライアン・ポーターやトロンボーン・ショーティに続く、
注目のトロンボニストです。
短いバス・トロンボーンのソロに続いて始まる
‘You Go To My Head’ には意表を突かれました。
ビリー・ホリデイが歌った、あの「忘れられぬ君」ですよ。
ずいぶんとまた、古い曲を選んだもんだなあ。
サム・リードという女性シンガーが歌っているんですが、
ソウル・テイストのフレイヴァーですっかりリフレッシュメントされた仕上がりが、
新鮮に響きます。
ほかにも公民権運動のアンセム‘We Shall Overcome’ を
取り上げているのには、イマドキ?と思ったものですけれど、
トランプのアメリカだからこそ、<いまどき>なのかもしれませんね。
アルバム中、もっともモーダルな演奏を繰り広げているところに、
レジナルドの気概が伝わってくるようじゃないですか。
バックは、ブッチャー・ブラウンの中心メンバーを起用していて、
コーリー・フォンヴィルのドラムス、アンドリュー・ランダッツォ、
デヴォン・ハリソン(DJハリソン)のキーボードが大活躍。
なかでもDJハリソンは、レコーディングとミックスのクレジットがあり、
本作のキー・パーソンといえそう。
タイトルに『プロトタイプ』とあるとおり、37分弱の本作はミニ・アルバムの扱いらしく、
本人はフル・アルバムの制作を考えているもよう。はやくも次作が待ち遠しいです。
Reginald Chapman "PROTOTYPE" Flesh Selects FSX027 (2018)
2019-03-14 00:00
コメント(2)
“You Go To My Head” 、その豊潤さに鳥肌、立ちましたあー♪
今まさに、芳醇なワインを頂いているような!
by ペイ爺 (2019-03-14 12:53)
新しいですよね、解釈が。さんざん使い古されたスタンダードをカヴァーするジャズ・ミュージシャンが、嫌いでならなかったんですけれど(いわゆる酒バラとかサマータイムとか)、古びたカヴァーとならず、新しいセンスで現代の曲のように蘇らせる、今回のような取組みなら大歓迎です。
by bunboni (2019-03-14 19:14)