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知られざるチャドに赴いて プロ・NDJ [中部アフリカ]

Pulo NDJ  DESERT TO DOUALA.jpg

ワンダーウィールを主宰するニコデマスの新プロジェクトが面白い。
チャドの首都ンジャメナに赴いたニコデマスが、チャドの音楽家ばかりか、
カメルーン、トーゴ、コンゴ民主共和国の才能ある音楽家たちと出会い、
ンジャメナが想像以上の文化のるつぼであることに驚いたんだそう。

なんでそもそもチャドなんだ?と思うわけですが、
アフリカで音楽シーンの様子がもっとも伝わってこない国ということで、
プロデューサー一流の勘みたいなものが働いたんでしょうかね。
ンジャメナが多様な文化の交差点となっていることに触発されて、
ニコデマスはプロ・NDJなるプロジェクトを組んで、
現地でレコーディングしたのが本作です。

タイトルの『砂漠からドゥアラへ』からは、
チャド北部のサハラ砂漠から、カメルーンの港湾都市ドゥアラへと至る、
砂漠~サヴァンナ~森林地帯をまたいだ文化の多様性を表す意図が感じられます。
プロジェクト名の「プロ」とはフルフルデ語の「プール」、すなわちフルベ人を表わす語、
NDJ はンジャメナの略でしょう。

フルベの素朴な2弦の弦楽器ガラヤの弾き語りのミニマルな歌に、
エレクトロニクスを控えめに絡ませた‘Cera Cera’ から、アルバムはスタート。
羊飼いであるフルベのワーク・ソング、チャド南部の儀礼音楽、
カメルーンの結婚式の歌などのフォークロアを題材に、
ガラヤ、バラフォン、女声のウルレーションといった
アフリカの響きを全面に押し出しながら、
伝統リズムのグルーヴをエレクトロで強化したサウンドを作り上げています。

カン高い声で歌う女性コーラスの伝統唱法の歌に、
ベース・ミュージックのサウンドを絡ませる試みも、とてもしっくりしていて、
長年ワールド・ビートを扱ってきたニコデマスのDJスキルの賜物といえそうです。
フランス語ラップのスキルも高く、
現地ミュージシャンたちの伝統とモダンのバランスの良さが、
ニコデマスが持ち込んだテクノロジーと親和性高く、
両者のコラボレーションを成功させています。

Pulo NDJ "DESERT TO DOUALA" Wonderwheel Recordings WONDERCD37 (2018)
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