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サハラウィのポリサリオ・ロック エル・ワリ [西アフリカ]

El Wali  TIRIS.jpg

これは強烈!
いきなり飛び出す女性シンガーの叫ぶような
ハイ・トーン・ヴォーカルにノック・アウトを食らいました。
西サハラのグループ、エル・ワリが、94年にベルギーへツアーした時に
レコーディングした幻のCDの復刻です。

幻というのは、ごく少量しかプレスされず、オリジナルの音源が所在不明だったためで、
海賊カセットがサハラ一帯ばかりでなく、西アフリカに広く出回ってヒットを呼び、
それを聞きつけたサヘル・サウンズが1曲をコンピレに収録したものの、
CD音源を探し出すまで8年がかかったんですね。

西サハラのサハラウィの解放運動、ポリサリオ戦線の活動を通して結成されたグループで、
英訳された曲名を見る限り、ほぼ全曲レヴェル・ソングと思われます。
西サハラ出身でロック色の強い音楽をやるグループでは、
グループ・ドゥーウェイがいますけれど、彼らの音楽性がムーリッシュ・ロックならば、
エル・ワリはムーア音楽だけでなく、トゥアレグや
マグレブのベルベル系の音楽も加わっているのを感じます。
メンバーの名前を見ても、ムーア人でないと思われる名前がありますね。

弦楽器のティディニートに太鼓のトボルほか、
エレクトリック・ギター、シンセサイザー、ベース、ドラムスという編成で、
ティディニートをフィーチャーした曲では、
ムーア音楽に特徴的なモードが聴き取れますけれど、
エレクトリック・ギターのカッティングがバンドのサウンドを牽引する曲では、
サハラウィ・ロックといった趣となります。

軽快な疾走感を生みだすリズム・セクションに、チープなシンセ音もどこか爽やかで、
解放感のある晴れやかさに、抑圧を跳ね返すエネルギーが溢れ出ていますね。
‘The Day Of The Free Nation’ と題された曲での弾けるような歌とコーラスに、
それが象徴されています。

El Wali "TIRIS" Sahel Sounds SS055CD (1994)
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