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職人芸のバランソ パプジーニョ [ブラジル]

Pap's Modern Sound.jpg

DJユースのレア・グルーヴとして、その筋には有名なアルバム。
DJ方面のディスク・ガイドではよく目にするかわり、
ブラジル音楽ファンの間では、あまり知られていないレコードじゃないですかね。
かくいうぼくも、今回のCD化で初めて聞いたんであります。

誰のアルバムかと言うと、コンジュント・ソン4を率いたほか、
ルイス・ロイ・キンテートで活躍したトランペット奏者、パプジーニョの70年作です。
コンジュント・ソン4は、若きエルメート・パスコアールが在籍していたグループ。
パプジーニョはペルナンブーコ出身なので、同じ北東部出身で
サン・パウロに出てきたエルメートをリクルートしたんでしょうか。

60年代ジャズ・サンバのシーンで売れっ子だったパプジーニョが残した本作は、
60年代末当時の近未来的デザインのインテリアと、
ミニワンピの女性とブーツにギターをあしらったジャケット・デザインが秀逸。
こじゃれた渋谷系カフェなんかに、これみよがしに飾ってありそうなジャケットですねえ。

パブジーニョといえば、当時ブラジルを訪れていた渡辺貞夫作の‘Cupid's Song’ を
収録していることで話題となった69年作の“Especial!” の方が、
ブラジル音楽ファンには馴染みがあると思いますけれど、
あのアルバムも女性コーラスが加わったポップなジャズ・サンバ・アルバムでしたね。

女性コーラス付きでも、演奏の方はかなりジャズ的だった69年作に比べ、
本作はアレンジが緻密で、ラフなアドリブは影を潜めて、
かっちりとした演奏を聞かせています。
あちらがジャズ・サンバなら、こちらはバランソといった趣ですね。
ジョンゴ・トリオのシドがオルガンを務めていて、アドリブのパートを少なくした、
完成度の高いアレンジに、職人技をみる思いがします。

レパートリーは、ジョルジ・ベンの‘Vou Me Pirulitar’ ‘Pais Tropical’
‘Que Maravilha’、オス・ノーヴォス・バイアーノスの‘De Vera’ といった
当時のブラジルの最新ヒット曲に加え、ザ・フィフス・ディメンションの‘Aquarius’、
ザ・フォーチューンズの‘You've Got Your Troubles’、
ジョルジオ・モロダーの‘Looky Looky’ など海外のヒット曲もレパートリーに加え、
サン・パウロの裏方ミュージシャンの高い実力を示したアルバムですね。

Papudinho "PAP’S MODERN SOUND" RGE/Discobertas DBSL189 (1970)
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