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ジャズの語法とヒップ・ホップの発想 ジェフ・パーカー [北アメリカ]

Jeff Parker & The New Breed  SUITE FOR MAX BROWN.jpg

シカゴからロス・アンジェルスに活動の場を移して活躍するジャズ・ギタリスト、
ジェフ・パーカーの「ザ・ニュー・ブリード」プロジェクトの2作目。
16年の第1作は、デジタル時代に音楽制作するジャズ・ギタリストの、
ひとつの方向性を指し示した画期的なアルバムで、ぼくはいたく感激したんですけれど、
さらに驚いたのは、翌年に日本盤がリリースされ、プロモ来日した時のこと。

最近では外国のアーティストのインストア・ライヴといっても、
ごくわずかな人数しか集まらないので、知る人ぞ知るジャズ・ギタリストで
人が集まるのか?なんて思っていたら、大勢の若者が駆けつけていてビックリ!
その瞬間まで、トータスのギタリストということがアタマになかったもんだから、
よく日本盤が出るもんだなとか思っていたくらいで、認識不足もいいところでした。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-05-17

そしてその後8月には、コットンクラブでライヴを観ることができました。
PCのプリセットを鳴らし、エフェクターをかけたギターを繊細にプレイしながら、
凝ったポスト・プロダクションのアルバムを、生演奏で切れ目なく再現していました。
長いソロを弾く時には、ジェフの正統なジャズ・ギタリストとしての顔もみせ、
T=ボーン・ウォーカーのリックがたびたび飛び出すのも面白かったな。

前作はジェフの父親に捧げた作品で、
ジェフと父が一緒に映った古い写真をジャケットにしていましたが、
今作は母親の写真をあしらったとおり、母親に捧げた作品。
今回も娘のルビー・パーカーのヴォーカルをフィーチャーしています。

ライヴでも、ジャマイア・ウィリアムスのドラムスが
サンプラーのように聞こえたくらいなので、
CDで聴くと、生演奏なのかドラムマシンなのか皆目わからないのが面白いところ。
今作ではマカヤ・マクレイヴンが叩くトラックもあり、
うち1曲ではサンプラーと同期させているようです。

ジャズの語法とヒップ・ホップの発想を活かして、生演奏とデジタルが相互に干渉しあい、
色彩感豊かな表現を生み出されていくのを体感できるのが、
このプロジェクトの良さですね。
コルトレーンの‘After The Rain’ やジョー・ヘンダーソンの曲にヒットを得たトラックに、
オーティス・レディングの‘The Happy Song’ をサンプリングした
短いインタールードのようなトラックもあり。
ほのぼのとした体温の伝わるホームメイドな雰囲気には、得難い味があります。

Jeff Parker & The New Breed "SUITE FOR MAX BROWN" Inernational Anthem Recording Co. IARC0029 (2020)
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