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ミャンマーに生き残る清純な歌声 ピューティー [東南アジア]

Phyu Thi  BADAMYAR YATU TAY SU (2).jpg   Phyu Thi and Yar Zar Win Tint  SHWE SA PAL YONE.jpg

マンダレー・テインゾーの新作に驚いていたら、
ピューティーの新作も入荷していて、やれ嬉しや。
昨年ピューティーの別のアルバムを入手していたんですけれど、
記事にしなかったので、今回あわせて書いておきましょう。

ピューティーは38年生まれ。
なんと大御所のマーマーエーより年長の人なんですが、
歌手になったのは遅く、80年からプロとして歌うようになったのですね。
歌手となる以前は何をしていたのかなど、経歴の詳細は不明です。
プロ歌手となった後も不可解なのは、ライヴ・パフォーマンスの経験がなく、
歌手生活33年目の13年になって、初のソロ・コンサートを国立劇場で開いたということ。
レコーディングのみの歌手活動だったんでしょうかね。

Phyu Thi  MOE TA SAINT SAINT.jpg

そんな情報皆無の人なんですが、
ぼくがピューティーに惹かれたのは、
15年以上前に手に入れた“MOE TA SAINT SAINT” がきっかけでした。
ジャケット写真は、70を超えていそうな高齢に見えるものの、
その歌声に老いは微塵も感じさせません。
それどころか、「清純」と呼びたい天使のような歌声で、
正直、本当にこのジャケ写の老女が歌っているのかと、びっくりしてしまったのでした。

歌い出しのひそやかな発声や、
伏し目がちな女性をイメージさせる控えめな歌いぶりに加え、
触れなば落ちん風情を漂わせる色香もあって、すっかりマイっていまったのでした。
柔らかな節回しに、まろやかなこぶし使いも絶品です。

サウン(竪琴)のみの伴奏から、曲が進むにつれ、サイン・ワインやヴァイオリン、
サンダヤー(ミャンマー式ピアノ)、フネー(チャルエラ)など、
徐々に楽器の数が増えていき、
スライド・ギター(バマー・ギター)が登場する曲もあれば、
バンド演奏とスイッチするミャンマータンズィン形式の曲もあり、
終盤になると欧米ポップス調のパートが増えていきます。
曲により録音にバラツキがあるので、ひょっとすると編集盤なのかもしれませんが、
この一枚で、ピューティーの名が脳裏に刻み込まれたのでした。

Phyu Thi  MILE PAUNG KA TAY MHA LAN PYA KYEL THOE.jpg

その後、既発カセットのジャケットをコラージュしたアルバム
“MILE PAUNG KA TAY MHA LAN PYA KYEL THOE” を見つけましたけれど、
こちらは全曲西洋ポップス調で、あまりに凡庸すぎる伴奏がツライところ。

そして、ひさしぶりに昨年手に入れたのが、
冒頭写真左の“BADAMYAR YATU TAY SU (2)”。
ジャケットの左上隅に眼鏡をかけた老人が映っていますが、これが誰なのか、
ジャケットの「2」とは続編を表すものなのか、などなど、
情報が無くてわからないことばかりですが、
内容はサイン・ワイン楽団を伴奏にした伝統歌謡集です。

サンダヤーやシンセも加わって、銅鑼も派手に打ち鳴らされて、サウンドは華やかです。
西洋風バンド演奏とスイッチするミャンマータンズィン形式の曲もあり、
ヤーザーウィンティンとトニーティッルインの男性歌手二人と
それぞれデュエットする曲があるほか、二人がそれぞれソロで歌う曲もあります。
トニーティッルインがソロで歌ったラスト・トラックは、ポップ曲ですね。
ピューティーの歌声は、“MOE TA SAINT SAINT” の頃となんらかわらず、
清楚な少女のよう。
自己主張が強く、解放された女性像が肥大化する風潮では、
この奥ゆかしい歌声は、21世紀の今日び、
まだ絶滅せずに生き残ってたのか!という驚きさえありますよ。

そして新作は、ヤーザーウィンティンとの共同名義で、ジャケットにも二人が写っています。
ピューティーが5曲、ヤーザーウィンティンが4曲、
デュエットが2曲(うち1曲の男性歌手は不明)となっています。
ヤーザーウィンティンが歌う曲で、バンジョーが使われているのに、耳を引かれました。

ピューティーの声が少し太くなったかな?という印象がありますけれど、
ふんわりとした清純な歌声は不変。
今年82歳となる声とは、とても思えませんね。エイジレスです。
ヤーザーウィンティンの柔らかく、心根の優しそうな歌声も、
仏教国ならではと思わずにはおれない清らかさですね。

Phyu Thi "BADAMYAR YATU TAY SU (2)” Yada Nah Myain no number
Phyu Thi and Yar Zar Win Tint "SHWE SA PAL YONE” Rai no number
Phyu Thi "MOE TA SAINT SAINT” May no number
Phyu Thi "MILE PAUNG KA TAY MHA LAN PYA KYEL THOE” Oasis PT99CD01
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