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サイケデリックなアゼルバイジャニ・ギターラ ルスタム・グリエフ

Rüstəm Quliyev.jpg

うひゃひゃひゃ、こりゃ強烈!
耳をつんざくエレキ・サウンドに、脳しんとうを起こしそう。
これは「世界ふしぎ発見」な1枚ですね。
アゼルバイジャンの改造ギター、ギターラのパイオニアであるルスタム・グリエフが
99年から04年に残した録音を、ボンゴ・ジョーがコンパイル。
う~ん、よく見つけたなあ。

改造エレクトリック・ギターを使って、
アゼルバイジャンの旋法ムガームに沿った伝統音楽ばかりでなく、
アフガニスタンやイランのポップスに、
ボリウッドのディスコ・チューンまで演奏するという痛快なインストものです。

アゼルバイジャンの音楽シーンには、旧ソ連時代の60年代から
チェコスロバキア製のエレクトリック・ギターが持ち込まれていて、
タールやサズの演奏者たちが、ギターのチューニングや弦高を変えたり、
フレットを増やすなどの改造をするようになっていたそうです。
やがてアゼルバイジャンの国内メーカーが、その改造ギターを量産するようになり、
ギターラとして広く使用されるようになったんですね。

モーリタニアや西サハラのギタリストたちが、
ムーア音楽の旋法ブハールを弾くために、
フレットを改造しているのと同じ試みなわけですけれど、
演奏者個々の創意工夫という域を超え、メーカー量産というところがスゴイですね。
モーリタニアのティディニートやアゼルバイジャンのタールに限った話でなく、
世界各地の伝統楽器が、エレクトック・ギターに置き換えられるようになった
エレクトリック・ギター革命物語の、これもまたひとつのエピソードでしょう。

Grisha Sarkissian  GARMON DANCES.jpg   Azad Abilov  GARMON.jpg

で、このルスタム・グリエフなんですが、
キッチュなボリウッド・ディスコの‘Tancor Disko’ とか、確かに面白いけれども、
やっぱり聴きものは、アゼルバイジャンの伝統曲。
脳天を直撃するハイ・ピッチのサイケデリックなラインは激烈で、
楽器こそ違えど、アルメニアのアコーディオン、
ガルモンを初めて聴いた時のショックを思い出します。

サイケデリックなサウンドに惑わされぬよう、旋律を追って聴いてみれば、
古典音楽に代表されるアゼルバイジャン歌謡のメリスマ表現を、
ギターが忠実になぞっていることがよくわかるじゃないですか。
ガルモンを思わせるのも、南北コーカサスが共有するこぶしの楽器表現だからでしょう。

高音で見得を切るようなキレのある短いフレーズのあとに、
一転、低音でうねうねとしたフレーズを延々と弾いたり、
また高音にジャンプしたりと、歌唱を忠実に引き写したギターも妙味なら、
3拍子や2拍3連の前のめりに疾走するリズムも聴きものです。

ルスタムが05年に肺がんで亡くなってしまった後、
このサウンドを引き継ぎ、発展させるような動きはないんでしょうかね。
興味のわくところです。

Rüstəm Quliyev "AZERBAIJANI GITARA" Bongo Joe BJR053
Grisha Sarkissian "GARMON DANCES" Parseghian PRCD11-30 (1992)
Azad Abilov "GARMON" Çinar Müzik 2002.34.Ü.SK-P1244/02-02 (2002)
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飛鳥

国内盤が発売されるまで楽しみにしていた1枚です。
民族音楽に馴染めるような作品に仕立て上げているように思います。欧米の楽器でも、もろに民謡ですね。
日本でもこういったことをやってくれる人はいないのでしょうか。クラシックでは試されているのですが。
ルスタムのアルバムの前には、アビロフのガルモンも聴いていました。これも圧巻でした。
by 飛鳥 (2020-10-31 21:22) 

bunboni

民謡サイドにいる人が、小難しい理屈じゃなく、あくまでも好奇心先行でエレキでやってみたみたいなケースだと、こういう面白さが生まれますよね。
知識やアタマ先行というか、コンセプトなどを妙にねらってやるような音楽家がやると失敗しがちですけれど、河内音頭や沖縄民謡のように土着化に成功した例は、ちゃんとありますからね。
by bunboni (2020-10-31 21:42) 

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