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ザディコのアンバサダー コーリー・レデット [北アメリカ]

Corey Ledet Zydeco.jpg

14作目を数えるコーリー・レデットの新作は、
シンプルなタイトルが示すとおり、ザディコへ原点回帰した作品となりました。
前作“ACCORDION DRAGON” でも、
オーセンティックなザディコを聞かせていたコーリーですけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-05-23
今回あらためて家族のルーツを知り、
クレオール文化の遺産を次世代へ繋ぐ、アンバサダーとしての意識を高めたようですね。

それは、コーリーの曾祖父ガブリエル・レデットが、
アーリー・ジャズの伝説的なトランペッター、バンク・ジョンソンのバンドで、
ベースを演奏していた事実を、つい最近突き止めたことがきっかけでした。
曾祖父がベースを弾いていたことは、父親から聞かされていましたが、
まさか伝説的な音楽家と一緒に演奏するほどの人物だったとは知らず、
コーリーはとても驚いたようです

また、コーリーの祖父ブキャナン・レデットも、
クリフトン・シェニエやロッキン・ドプシーのバンドでドラムスを叩き、
ザディコ初のドラマーと呼ばれた有名人でした。
コーリーが生まれる前に亡くなり、
お祖父さんのプレイを直に聴いたことはなかったのにもかかわらず、
コーリーが8歳でドラムスを叩き始めた時、ブキャナンが編み出した
ダブル・クラッチというザディコの特徴的なリズムを難なく叩いてみせたことは、
家族を驚かせた逸話となっているそうです。

その後ルイジアナでは生計が立てられなくなったレデット一家は、
父親の代からテキサスのヒューストンに移り住んだものの、
夏休みは家族の故郷であるルイジアナのバークスで親戚たちとともに過ごしていました。
ヒューストンに暮らしながら、クレオール文化にどっぷりつかっていたコーリー一家は、
もともと音楽一家だったのですね。

本作でコーリーは、レデット家の歴史を辿りながら、故郷のバークスに伝わる
ルイジアナ・クレオール語のクーリ=ヴィニを使って歌詞を書き、
クレオールの伝統を守ることを意識しました。
前作のように管楽器を加えることもなく、シンプルなサウンドに徹しています。

前作からはベースとドラムスが交代し、ベースにはバックウィート・ザディコのバンドで
活躍したリー・アレン・ジーノが起用されています。
ロスト・バイユー・ランブラーズのルイ・ミショーとコーリーの共同プロデュースで、
ザディコを知り尽くした最高の布陣となっています。

コーリーのオリジナル8曲に、カヴァーも2曲やっていて、
グラント・ダームディのハープを交えた、ファッツ・ドミノとデイヴ・バーソロミュー共作の
ブルース・ナンバー‘Pèl Mò (Call Me)’ のほか、急速調にアレンジした
ビッグ・ジョー・ターナーの‘Flip Flop And Fly’ は、
ブルース・ブラザーズもシッポまくカッコよさ。
生一本のザディコ魂が生み出す
重量感たっぷりのグルーヴは、満足度100%です。

Corey Ledet "COREY LEDET ZYDECO" Nouveau Electric NER1016 (2021)
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