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東アフリカ沿岸のナイトクラブに流れたターラブ

Zanzibara 10.jpg

大衆ターラブの濃厚な味わいを堪能できる編集作の登場です。

「大衆」という言葉を付けてわざわざ呼んでみたのは、
カルチャー・ミュージカル・クラブや
イクファニ・サファー・ミュージカル・クラブといった、
共同体音楽の性格をもった冠婚葬祭向けのターラブではなく、
ナイトクラブなどで演奏された、大衆歌謡のターラブ集だからです。
たとえて言うなら、エスコ-ラ・ジ・サンバと、
マランドロたちが巣食うリオ下町のサンバの違いでしょうかね。

Black Star& Lucky Musical Club.jpg

89年に出たアフリカン・ポップス名盤中の名盤“NYOTA” を愛した人なら、
とりこになることウケアイの編集盤ですよ。
べちゃっとつぶれた声の女性歌手が歌う、
クサやの干物みたいなターラブの旨みなんて、もう最高です。
“NYOTA” はタンザニアの港町タンガで活躍した
二つのターラブ・バンドを編集したアルバムでしたけれど、
本作はケニヤのモンバサで活躍したターラブ・バンドも含めて編集されています。

Zanzibara 2  L’ÂGE D’OR DU TAARAB DE MOMBASA.jpg

モンバサのバンドは、本作と同じザンジバラ・シリーズの第2集
“L’ÂGE D’OR DU TAARAB DE MOMBASA 1965-1975” に収録されていた
マタノ・ジュマ率いるモーニング・スターや、ズフラ・スワレー、
ゼイン・ミュージカル・パーティなどの面々で、
第2集以降の90年までに残した録音を聴くことができます。
タンガの猥雑なスワヒリ演歌に比べ、モンバサはオルガンやドラムスを加えて、
サイケやファンキーなセンスもみせたのが特徴ですね。

Maulidi & Musical Party.jpg   Zein Musical Party  MTINDO WA MOMBASA.jpg
Zuhura Swaleh Jino La Pembe.jpg   Malika  Tarabu.jpg

ここに収録されたマウリディ・ミュージカル・パーティ、ゼイン・ミュージカル・パーティ、
ズフラ・スワレー、マリカは、ターラブが本格的に世界へ紹介された
80年代末から90年代初めにかけて(マリカだけは97年)、新録音も出ました。
これらのアルバムすべてで制作に関わってきたのが、
東アフリカ音楽研究家のウェルナー・グレブナーです。

エチオピア音楽を世界に紹介したフランシス・ファルセトほどには
知られていないウェルナーですけれど、グローブスタイルに残した一連のターラブ作や、
ブダの「ザンジバラ」シリーズで残してきた仕事は、ファルセトを凌ぐ広さと深さがあり、
コウベを垂れるほかないというか、足を向けて寝られませんね。

Shakila & Black Star, Zuhura & Party, Zein Musical Party, Malika & Party, Ali Mkali & Sta Mvita and others
"ZANZIBARA 10: FIRST MODERN: TAARAB VIBES FROM MOMBASA & TANGA / 1970-1990" Buda Musique 860354
Black Star & Lucky Star Musical Clubs "NYOTA" GlobeStyle CDORB044
Matano Juma & Morning Star Orchestra, Yasseen & Party, Zuhura & Party, Zein Musical Party, Bin Brek and others
"ZANZIBARA 2: L’ÂGE D’OR DU TAARAB DE MOMBASA 1965-1975" Buda Musique 860119
Maulidi & Musical Party "MOMBASA WEDDING SPECIAL" GlobeStyle CDORBD058 (1990)
Zein Musical Party "THE STYLE OF MOMBASA" GlobeStyle CDORBD066 (1990)
Zuhura Swaleh with Maulidi Musical Party "JINO LA PEMBE" GlobeStyle CDORBD075 (1992)
Malika "TARABU" Shanachie 64089 (1997)
コメント(2) 

コメント 2

Nyam Nyam

Bunboniさんありがとうございます。私の長年の謎が解けました。私のお気に入りの一枚にZuhura &PartyのSinge Temaというアルバムがあるんですが、曲名とTaarab Specialと書いてある以外情報がなく、またいつどこで買ったかも定かでなく、同じ種類の音楽に出会うこともなく数十年。ポップアフリカを読んでいたところターラブという音楽があることを知り、これかと思い聴いてみたものの、上記アルバムとは雰囲気が異なりますます謎は深まるばかり。でも、さっき届いたばかりの本アルバムを聞いて思わず「これこれ!」とついに合点がいった次第です。同じターラブでもこうも味わいが違うものかと。クサヤの干物の例えもなるほど、私の大好物の音楽であります。
by Nyam Nyam (2021-02-16 15:09) 

bunboni

お持ちの “SINGE TEMA” は、80年頃ゆいいつ日本に入荷したターラブのレコードでしたね。とうようさんも『アフリカの音が聞こえてくる』のなかで、「ぼくの持ってるのではターラブのレコードはケニヤ・プレスのもの1枚しかないんですが」と書いて紹介されてましたっけ。おととしだったか、フランスのブダが、オリジナル仕様でリイシューLPを出しました。

今回の『ザンジバラ10集』には、B面ラストの ‘Humvui Alovikwa’ が収録されましたね。この曲は、記事に写真を載せたグローブスタイル盤 “JINO LA PEMBE” でも再演されています。ちなみに、このグローブスタイル盤については、『ポップ・アフリカ800』の586枚目に載せました。よろしければそちらもご覧ください。
by bunboni (2021-02-16 19:45) 

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