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ソウェト蜂起を前にしたソウル・ジャズ ブラック・ディスコ

Black Discovery NIGHT EXPRESS.jpg

70年代の南ア・ジャズを中心にリイシューしているイギリスのマツリ・ミュージックが、
ブラック・ディスコの76年セカンド作をデジタル・リリースしたのは、
もう5年も前になるのか。
マツリは、レーベル発足当初はCDも作っていたけれど、
いまではデジタルかヴァイナルのみのリリースで、
CDはまったく出さなくなっちゃったなあ。

そんなわけで、このブラック・ディスコも、記憶の彼方になっていたんですが、
つい最近、オランダのお店に在庫のあった南ア・ジャズのレアCDのなかに、
オリジナル盤のレーベル元、アッ=シャムス(ザ・サン)が
96年にCD化した盤を発見したんです!

ブラック・ディスコというのは、南ア・ジャズ・シーンで活躍していた
テナー・サックス兼フルート奏者のバジル・コーツィーと
ベーシストのシフォ・グメデが、当時まだ新人だった
オルガン奏者のポップス・ムハンマド・イスマイールをフックアップして、
75年に結成したドラムスレスのトリオ。

デビュー作が成功したことから、バジル・コーツィーと
シフォ・グメデがダラー・ブランドのもとで一緒に演奏していたドラマー、
ピーター・モラケを加えて、本セカンド作をレコーディングします。
ちなみに、バジル、シフォ、ピーターの3人は、
ダラー・ブランドの最高傑作“AFRICAN HERBS” のメンバーですよ。
黄金メンバーですね。

こんなふうに紹介すれば、
ブラック・ディスコは、南ア・ジャズのグループと想像されるでしょうが、
グループ名にディスコとあるとおり、
ほとんどジャズ色のないインスト・ソウルに近いグループだったのですね。
ぎりぎりソウル・ジャズといえるかどうか。
ブッカー・T&ジ・MGズを範としているのは確かで、マツリのサイトでは、
「スタックス・サウンドへの南アフリカからの回答」と表現していました。

実は本作、当初はブラック・ディスカヴァリーという名義に変えて
リリースされる予定だったのが、当時の南ア政府の検閲を通らず、
許可されなかったという出来事がありました。
このアッ=シャムス盤CDのジャケットは、グループ名のあとに very を付けて、
ディスカヴァリーに変えるという粋なデザイン処理がされていて、
バック・インレイや背にもブラック・ディスカヴァリーと記して、
グループの当初の意志を実現しています。

本作が録音されたのがどういう時代だったかといえば、
ソウェト蜂起の4か月前となる76年2月。
アパルトヘイト下の抑圧によって、
黒人住民の不満が爆発寸前となっていた、まさにその時でした。

そんな不満をなだめるかのように、ブラック・ディスコのサウンドは、
リラックスしたオルガンとメロウなサックスとフルートが、その表面を覆っていますが、
その裏に沈み込んでいる、怒りを沈殿させた黒人たちのパワーは、
ウネりまくるベースと、キレのいいドラムスが生み出すグルーヴに表現されています。
このサウンドが、当時の黒人の胸にどれくらい刺さったかは、容易に想像つきますよ。

ティミー・トーマスふうのリフを織り込んだ、
11分を超す長尺のタイトル曲‘Night Express’ には、
やるせない思いがこみ上げてきます。

Movement In The City.jpg

その後、同じ76年の10月に、ベースとドラムスが交替して3作目を出したあと、
ポップスとバジルは、ブラック・ディスコを発展的解消し、
ムーヴメント・イン・ザ・シティを結成します。
ムーヴメント・イン・ザ・シティの79年デビュー作のジャケット・カヴァーが、
ゲットーの壊された住宅と細道の荒涼とした写真が飾られるという、
さらに過酷な現実が待ち受けていることを考えれば、
“NIGHT EXPRESS” は、嵐の前の静けさであったといえそうです。

Black Discovery (Black Disco) "NIGHT EXPRESS" As-Shams/EMI CDSRK(WL)786158 (1976)
[LP] Movement In The City "MOVEMENT IN THE CITY" The Sun SRK786147 (1979)
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