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バンバラ・グルーヴの元祖 シュペール・ビトン・ド・セグー [西アフリカ]

Super Biton de Segou  Afro Jazz Folk Collection.jpg

リリース告知以来、胸をときめかせて待っていたアルバムが、ついに届きました!
かつてのバンバラ王国の都セグーが生んだ、
マリ最高のバンド、シュペール・ビトンの未発表音源集でっす!!

1曲目の‘Ndossoke’ から、バンバラ独特の泥臭いグルーヴが爆発。
期待どおりのサウンドが飛び出して来て、もう心臓バクバクもんです。
タイトルから察するに、バンバラの猟師を称える口承伝統から着想を得たものや、
バンバラ文化に敬意を示した曲で占められていると思われます。

しつこく反復を繰り返すメロディが印象的な17分を超す‘Kamalen Wari’ は、
セグーに暮らす民族のひとつであるボゾの物語のようですね。
落ち着いたリズムがバンバラとはまたひと味違い、
ボゾの漁民由来のリズムが反映されているのかもしれません。

リーダーのアマドゥ・バのトランペットが、きらびやかなロング・トーンをきめれば、
ママ・シソコのリード・ギターもよく鳴っていて、ゾクゾクしますねえ。
未発表音源集とばかり思っていたら、6曲目の‘Bwabaro’ は、
86年の最高傑作“AFRO JAZZ DU MALI” 収録の‘Bua Baro’ と同音源。
あ、既発曲も交じっていたんですね。

ラストの“Garan” も、77年にマリ、クンカンから出た青盤(KO/77.0414)の収録曲。
イントロのアタマを少しカットして、最後もフェード・アウトした
短縮ヴァージョンとなっていて、音質がやたらと悪いのは、いかがなもんすかね。
ほかにも、マスター・テープの不良箇所が数カ所あって、気がそがれます。

今回のリイシューは、シュペール・ビトンの元メンバーの、
ママ・シソコ(リード・ギター)、モディボ・ジャラ(キーボード)、
アブバカル・キサ(リード・ヴォーカル)が選曲したとのこと。
アブバカル・キサは今年4月21日に亡くなってしまい、
完成したLP/CDを見ることができなかったのは残念でしたねえ。

シュペール・ビトンは、アマドゥ・バが87年に脱退して、事実上解散となっていましたが、
08年に残されたメンバーたちによって再結成されたそうです。
え~、初耳。
それならなぜレコーディングしないんだろう。コーディネートする人間がいないのかなあ。
70~80年代の活動当時だって、録音の機会は恵まれていたとはいえなかったしねえ。
70年代のビエンナーレで何度も優勝して国立バンドへ昇格し、
名実ともにマリのトップ・バンドとなったシュペール・ビトン。
バンドの実力からしたら、レイル・バンドより確実に格上だったのに。

そんなシュペール・ビトンがマリ音楽史に残した偉業を、新しく聴くリスナーにも届くよう、
しっかりとした解説が欲しかったところなんですが、テキストは皆無。
録音データ、メンバー・クレジットなども、いっさいなし。
これははっきりいって、リイシュー・アルバムとしては失格ですね。
だって、これじゃあ、配信とおんなじじゃないの。
フィジカルで制作する意義を、どう考えてんのかねえ。
レーベル元に猛省を促したいですな。

Super Biton De Segou “AFRO, JAZZ, FOLK COLLECTION VOL.1” Mieruba/Deviation no number
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