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グルーヴィになったエチオピアン・ゴスペル アディサレム・アセファ [東アフリカ]

Adisalem Assefa  JOROYEN LIBSA.jpg

カルキダン・ティラフンの新作に、
エチオピアン・ゴスペルの近作の充実ぶりを感じたばかりですが、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-11-18
ここ数年のゴスペル作品がどれもが水準以上で、驚かされます。

4~5年くらい前に、エチオピアン・ゴスペルをごっそり買って、
ほぼ全部処分してしまうという、憂き目に遭ったもんだから、
すっかり懲りちゃって、ずうっと遠ざかっていたんですよ。

何が変わったかといえば、ウチコミに頼った平板なプロダクションから、
腕のあるミュージシャンを集めて、生演奏主体のスタジオ録音になったことですね。
特に、ドラムスが人力というだけで、これだけ印象が変わるかというくらい、
ガラッとサウンドが良くなったのを感じます。

歌手はいずれも歌える人たちばっかりだから、
バックさえ良ければ、当然見違えるような出来栄えになりますよね。
それから、楽曲も良くなりましたね。新しいソングライターが出てきたんでしょうか。
ゴスペル・アルバムは同じような曲調ばかり続くという悪印象も、一掃されましたよ。

今回聴いたのは、男性歌手のデレジェ・マセボ、女性歌手のアイダ・アブラハム、
セラム・デスタ、エイェルサレム・ネギヤ、サムラウィット・カエサル。
どのアルバムも聴きごたえがあったんですが、
曲の良さでヘヴィロテになりつつあるのが、アディサレム・アセファです。

この人の08年の2作目“SEBARIW GIETA KEFITIE WETTUAL”、
13年の3作目“YAMELETE ENIE NEGN” ともに手放してしまったので、
定かな記憶はないんですけど、この4作目は過去作とは段違いにグルーヴィです。
アレンジャーに4人の名前が連ねられていますが、
14曲中10曲をアレンジしているメスフィン・デンサが、サウンドのキー・パーソンかな。

10曲目の‘Tamagn New’ のベース・ラインなんて、
チャック・レイニーやポール・ジャクソンをホウフツさせるプレイぶり。
70年代ソウルを下敷きにしたグルーヴィさに、こちらのツボを押されまくりで、悶絶。
ベースの名演曲ですよ、これ。

そしてアディサレムは、チャーミングな歌声でこぶし使いもたっぷり披露していて、
ゴスペル=薄口の式はもはや当てはまりませんね。
悲しみに暮れる人に寄り添い、ともに嘆き、
一緒に立ち上がる力を与えてくれるようなメロディは、
なるほどゴスペルと思わせます。

ティジータのような泣きの演歌とは違って、
哀しみにそっと寄り添いながら、背中を撫でるようになぐさめ、希望の光をともし、
聖歌隊のコーラスとともに、歓喜へといざなう高揚感に満たされるメロディに、
信心のない者でも胸を打たれます。

Adisalem Assefa "JOROYEN LIBSA" no label no number (2018)
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