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古典声楽家が歌う民謡 ヨズガトル・ハーフィズ・スレイマン [西アジア]

Yozgatlı Hafız Süleyman    CÂNÂN ELİ.jpg

ヨズガトル・ハーフィズ・スレイマンの復刻集!
う~ん、何十年待たされたことか。

30年代に活躍した、トルコ中部、中央アナトリア地方ヨズガト県出身の古典声楽家です。
古典ばかりでなくガザルや、出身のヨズガト地方の民謡やカイセル民謡のボズラックなど、
地方の音楽を初めて歌った古典声楽家として名を馳せた人です。

その昔、トルコ古典音楽の入門に役立った
ラウンダー盤の“MASTERS OF TURKISH MUSIC” で
この人の‘Bozlak And Halay’ を聴き、そのコブシの美しさに魅せられたんでした。
ヨズガトル・ハーフィズ・スレイマンの名をすぐさま覚えましたが、
ほかにこの人の録音を聴くことができず、
その後20年も経ってから、オネスト・ジョンズ盤の“TO SCRATCH YOUR HEART” で、
もう1曲‘Ben Nasil Ah Etmeyeyim’ がようやく聴けたんですよね。
それが今回はまるまるアルバム1枚のリイシューなんだから、感涙ものです。

堂々たるコブシ回しが、ハーフィズ・スレイマンの持ち味。
この時代の古典声楽家ならではといえる、男っぷりを聞かせてくれるんですが、
けっして威圧的にならず、抜けるような美しさがあるところが、最大の魅力。
それがボズラックなどの民謡の特徴である、
ウズン・ハワ様式の自由リズムで存分に発揮されていて、
はじめに高い声で張り上げ、続いて炸裂するコブシで、
聴く者の胸をつかまえてしまいます。

その華麗な技巧は、フォークロアな民謡歌手とは異なる出自をくっきりと示していて、
古典声楽のマスターぶりを表していますよね。
また30年代に流行したガザルを詠むのにも、その美声はもってこいで、
このアルバムでもそんな美しいガザルを聴くことができます。

曲ごとにカーヌーン、ヴァイオリン、タンブール、ウード、ケメンチェ、ネイなど、
さまざまな楽器が伴奏するものの、リズム楽器は加わらないところが肝。
音質はクリアで、ノイズを取りすぎているようにも思えますけれど、
ハーフィズ・スレイマンの鮮やかな歌唱を堪能するのには、もってこいです。

Yozgatli Hâfiz Süleyman "CÂNÂN ELİ" Kalan 801
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