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春を呼ぶファド フランシスコ・ソブラル [南ヨーロッパ]

Francisco Sobral  ESTADO D’ALMA.jpg

フランシスコ・サルヴァソーン・バレートに刺激されて、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-02-20
男性ファディスタをもっと聴きたくなり、あれこれ探して見つけた一枚。

フィリーペ・ラ・フェリア作のミュージカル「アマリア」(99)で、
アルフレード・マルセネイロを演じて脚光を浴びたファド歌手、
フランシスコ・ソブラルの12年セカンド作です。
ぼくが手に入れたのは、15年の再発盤なんですけれども。

アルフレード・マルセネイロを演じるほどの人だから、歌の実力は折り紙付き。
たっぷりとした豊かな声にはコクがあって、
技巧をひけらかさない余裕の歌いぶりで、
奥行きのある歌の表情をみせてくれます。

ソブラルのまろやかな声は、昏々と湧き出る温泉の湯を連想させます。
温かさに満ちあふれていて、哀切や絶望といった「陰」のファドではない、
愛情や希望の「陽」のファドが、この人に宿っているのを感じます。
アルフレード・マルセネイロの‘Fado Cravo’ に新しい詞をつけて歌った
‘Roseira Brava’ が、ゆいいつファドの暗さを表していて、
アルバムのなかで異色に響くくらいですからね。

フランシスコ・ソブラルは、65年ベージャ生まれ。
ファド・ハウスの出演ばかりでなく、舞台やコンサートでも歌い、
ポルトガル国外での公演活動も活発に行っているファド歌手とのこと。
アルバムは2作しか出しておらず、ぼくが買ったセカンド作の再発盤も、
たった500枚のプレスと書かれていて、ファド・ハウスやコンサートなどの手売りで、
すぐはけちゃったものなんじゃないでしょうか。
そんなファド歌手の貴重作を聴くことができるなんて、ありがたや。

春を呼ぶような明るさのあるファドは、これからも長く大切に付き合っていけそうです。

Francisco Sobral "ESTADO D’ALMA" Cult Label eEMA003-15 (2015)
コメント(3) 

コメント 3

戸嶋 久

これはぼくもリリース以後熱心に聴いていますが、毎記事このブログはCD買って付属テキストをしっかり読まないとわからない内容がしっかり書き込まれてあって、こういう時代だからそこをおそらくかなりはっきり意識されているかと思いますが、サブスク派のぼくには助かります。
by 戸嶋 久 (2022-03-28 23:30) 

bunboni

サブスク全般含めて、デジタル・リリースが腹立たしいのは、制作者のテキスト無視の姿勢です。解説をPDFで付属することなんなくできるはずで、むしろフィジカルでは無理なCDブックになる大量のページ数ですら掲載可能なはずなのに、まったくそれをしようとしないことですね。デジタル・リリース時からそれがデフォルトになってしまったから、サブスク時代になってもそれが受け継がれているというか。一義的には、業界の怠慢にほかなりませんけれど、それを許してきたリスナーの責任も大きいんじゃないでしょうか。
by bunboni (2022-03-29 06:09) 

戸嶋 久

すみません、このコメントは最新記事のアンバー・マークのに付けたものなんですが、投稿時のアクションのなんらかの不具合でここへ表示されています。
by 戸嶋 久 (2022-03-29 07:26) 

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