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父から息子へ アブドゥッラー・ウンバドゥグー、シディ・アブドゥッラー・ウンバドゥグー [西アフリカ]

Desert Rebel.jpg   Abdallah Oumbadougou  ZOZODINGA.jpg

ニジェール政府によるトゥアレグ弾圧によって、マリのティナリウェン同様、
リビアの亡命キャンプへと逃れたアブドゥッラー・ウンバドゥグーは、
ニジェールでイシュマール・スタイルのギター・ミュージックを広めた一人。
トゥアレグの武装闘争終結後にニジェールへ帰国して英雄となり、
ボンビーノやエムドゥ・モクタールなど、
アガデスの若きトゥアレグのギタリストたちのお手本となった人です。

亡命時の95年に、ベニンで録音したカセット“ANOU MALANE” は、
ブートレグ商人のネットワークによって、ダビングを繰り返しながら
トゥアレグのディアスポラが居留する隅々の地まで行き渡ったといいます。
このアルバムは、19年にサヘル・サウンズがLPとカセットでリイシューしました。

ニジェールに戻ったアブドゥッラー・ウンバドゥグーは、ヨーロッパやアメリカをツアーし、
フランスで結成したグループ、デゼール・ルベルで成功を収めます。
デゼール・ルベルには、アマジーグ・カテブ(元グナーワ・ディフュジオン)、
サリー・ニョロ(元ザップ・ママ)、ダニエル・ジャメ(元マノ・ネグラ)が参加し、
レゲエやグナーワなども取り込んだヨーロッパ人受けするサウンドになっていましたが、
彼の本領が発揮されたのは、ソロ名義で出した11年作“ZOZODINGA” の方ですね。

Sidi Abdallah Oumbadougou  ISSIKTANE.jpg

そのアブドゥッラー・ウンバドゥグーが、20年に亡くなっていたことを、
アブドゥッラーの22歳の息子、
シディ・アブドゥッラー・ウンバドゥグーのデビュー作で知りました。
先月クレモント・ミュージックからリリースされた本作のライナーノーツに、
「故アブドゥッラー・ウンバドゥグー」とあり、えっ!と気付いたのでした。

息子シディ・アブドゥッラー・ウンバドゥグーのデビュー作は、
ベース・ドラムスが付くだけのシンプルなギター・トリオ。
ニジェールのアガデスで録音され、ニュー・ヨークでミックスされているんですが、
これがなかなかの出来。

キレのあるビートにのせて、硬質な音色のギターをリズミックに弾きながら、
力のあるヴォーカルを聞かせます。
落ち着いた低音で歌うのと、高音で振り絞るように歌うのを交互に行ったり、
声色を変えるなど、工夫の跡がうかがわれるじゃないですか。
ウルレーションが飛び出す曲もあります。

曲はハチロクと4拍子が半々で、前のめりにつんのめったビートの曲あり、
反対に、最後の拍を長めにとったタメの利いたビートの曲ありと、
各曲リズムが異なっていて、単調になることがありません。

Desert Rebel "DESERT REBEL" Original Dub Master ODM07820 (2006)
Abdallah Oumbadougou "ZOZODINGA" Original Dub Master ODM3417201 (2011)
Sidi Abdallah Oumbadougou "ISSIKTANE" Clermont Music CLE049 (2022)
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