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台湾産ネオ・ソウルのキー・マン 雷撃 [東アジア]

雷撃  DIVE & GIVE.jpg

藍婷(ラン・ティン)のデビュー作で冴えたアレンジを聞かせ、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-08-27
リニオンのアルバムでは作編曲とドラムスの腕を振るっていた
雷擎(レイチン)の、満を持した初のソロ・アルバム。
新世代ジャズの生演奏感覚が鮮烈だったリニオンと比べると、
レイチンの方は、ネオ・ソウルの王道感強しかな。

シロフォンをフィーチャーしたアンビエント・サウンドの‘Rainbow’ に続く、
80年代ディスコを想起させるストリングス・アレンジと
ハンド・クラッピングを散りばめた‘Real World’ で、はや降参。
既視感のあるサウンドをパッチワークのように散りばめながら、
新時代のセンスに沿ったサウンドをクリエイトしているんですね。

メロウなエレピとともに始まる「巫女」では、蕩けるように甘いスローのパートと、
軽やかなサンバのリズムに変わるブリッジの対比が鮮やかで、
さらに終盤には、妖しいボレーロへと変わって、
偽トロピカルな楽園イメージを演出をするアレンジが、憎たらしいったらありゃしない。

こういうアイディアって、一歩間違うと下世話になるところなんだけど、
すごく上品に仕上がっていて、そのサウンド・メイキングの手腕は、
技術というよりも、この人の育ちの良さみたいなものを感じますね。

フォーキーな「風與花」など、ギターやピアノを引き立てるために、
あえてシンプルにしたサウンドの曲を合間に配置して、
アルバムの起伏を作る構成もうまい。
レイチンのソフトなヴォーカルも、ふわふわと浮遊するサウンドとベスト・マッチで、
文句のつけようがありません。

『アジア都市音楽ディスクガイド』に載らなかったのが、解せませんね。
台湾のネオ・ソウルのキー・マンの初ソロ作で、
これほどの重要作はないでしょう。

雷撃 「DIVE & GIVE」 浮氣音樂有限公司 no number (2021)
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