SSブログ

アーシーなアフロ・ファンク トーゴ・オール・スターズ [西アフリカ]

Togo All Stars  FA.jpg

おぅ、待ってました!
トーゴ・オール・スターズの5年ぶりのセカンド作。
70年代に活躍した往年のヴェテランまで引っ張り出したデビュー作が、
望外の傑作だったというのに、日本ではまったく話題になりませんでしたねえ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-10-06
今度こそ、ちょっとは注目してくれよと言いたい、これまた快作となった新作です。

今回は、ロジャー・ダマウザンやナポ・デ・ミ・アモールといったヴェテランはいませんが、
前作とほぼ同じメンバーで、トーゴの首都ロメで録音、
アムステルダムでミックスをしています。
デビュー作を仕切った、元ファンガのセルジュ・アミアノの名前が今回はなく、
アミアノから自立したということなのかな。
プロデュースはトーゴ・オール・スターズ・コレクティヴとなっているので、
集団指導体制になったようですね。

ホーン・セクションを含むバンドの演奏力の高さがこのバンドの強みで、
アーシーな魅力に富んでいるところが、今日び貴重だと思うんですよ。
演奏力があると、最近はなんでもかんでも洗練の方向に向かっちゃうじゃないですか。
それがなんか、ツマんないなあと思っていたもので、
こういう泥臭い味を発揮してくれると、すごく嬉しくなっちゃうんですよね。

アクペセやアグバジャなど、トーゴのリズムを援用した曲も多くやっていて、
冒頭の‘Ancestors Calling’ では、ステデイなベルの合間を、
トーキング・ドラムがバウンシーなリズムで駆け抜けます。
バリトン・サックスが利いた重厚なホーンもド迫力の、トーゴリーズ・ファンクですね。
‘Adze Gbalo’ では、シャウトするヴォーカルの熱さとは対照的な、
反復フレーズを淡々と演奏するクールなグルーヴにシビれます。

トーゴの伝統的なリズムを前面に打ち出した曲では、
打楽器アンサンブルとコーラスをバックに、サックスがブチ切れたソロも聞かせる
‘Reclaim Yourself’ や、‘Adjoguin’ ではその曲名どおり、
トーゴ南東部アクラク村に伝わるアジョグインのベルのリズムをベースにしています。
こうした曲では、パーカッション・アンサンブルがキモになっているんですけれど、
クレジットによると、パーカッションはすべて、
アヨウヴィ・コクスが一人で演奏しているようです。

その一方で、アフロビートもやっていますよ。
‘Everybody Get It’ でギルバート・オペニャが聞かせる、
唾を飛び散らすようなアジテイトは、迫力たっぷり。
‘Up To The Sky’ のアゲイ・クジョーの歌いっぷりも、
フェラ・クティをホウフツさせます。
トーゴ独自性を存分に発揮したアフロ・ファンクは、
自信を持って唯一無比といえます。

Togo All Stars "FA" Excelsior EXCEL96600 (2022)
コメント(3) 

コメント 3

松原善治

トーゴ・オールスターズとても良いですね。特に荻原さんもご指摘の通り、洗練されずプリミティブな所。トロピカル通信2.0でも紹介したいと思っています。荻原さんの原稿が大変参考になりますので、シェアさせていただきたいても良いでしょうか?
by 松原善治 (2022-09-30 11:52) 

bunboni

ありがとうございます。拙ブログは、リンクもシェアもご自由にどうぞ。
by bunboni (2022-09-30 18:51) 

松原善治

ありがとうございます。それでは2~3日中にトロピカル通信で紹介させていただきます。

by 松原善治 (2022-09-30 19:55) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。