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豪快なヨルバ・ファンク アデデジ [西アフリカ]

Adédèjì  YORUBA ODYSSEY.jpg

おぉ、新作はだいぶサウンド・カラーを変えてきたなあ。
前2作は洗練されたジャジー・ポップで、ヨルバ・メロウネスとでも
形容したくなるサウンドを聞かせてくれたアデデジですけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-10-22
新作は、ゴツいジャズ・ファンクを前面に打ち出して、
ラフでタフなサウンドをアルバム全編で展開しています。

アフロビーツのシーンとは異なるフィールドで活躍するナイジェリアの新しい才能、
アデデジの新作は、デンマークの新興レーベル、ワン・ワールドからのリリース。
『ヨルバ・オデッセイ』とは、含蓄のあるタイトルを付けたもんです。
ヴィクター・オライヤ、フェラ・クティ、サニー・アデ、エベネザー・オベイなどなど、
数多くのナイジェリア人アーティストたちが録音したレゴス伝説のスタジオ、
アフロディジア・スタジオにおもむき、わずか3日間で仕上げていて、その後、
アデデジが拠点とするギリシャ、アテネで、ポスト・レコーディングを行っています。

アフロビートの ‘Oruku’ から、アルバムはスタート。
粘着質な反復リフがなんかエロくって、ユニークな曲。
フェラ・クティのトリックスターなキャラクターが憑依したかのような、
アデデジのヴォーカルもいい。おかげで、いきなり冒頭からアガる、アガる。
このオープニングだけで、これまでの作品とはガラッと違うのが印象づけられます。

2曲目からは怒涛のアフロ・ジャズ・ファンク責め。
リズム・セクションとホーン・セクションが一体となったグルーヴ感が、
息つかせぬイキオイで迫りくるので、心臓バクバクもんですよ。
‘Ojeje’ では、リズム・セクションにホーン・セクション、そしてコーラス隊が
くんずほぐれつする間を縫うように、アデデジがジャズ・マナーなギター・ソロを弾きます。

やっと一息入れられるのは、テンポを落とした5曲目の‘Lagos Blues’。
女性コーラスがゴスペルを思わせ、アデデジの歌いぶりにも、
説教師のようなニュアンスが感じられる曲です。
アデデジはレゴスの教会の聖歌隊で歌い始め、
10歳で聖歌隊のリーダーを務めているので、ゴスペルが基礎にあるんだろうな。
この曲でも、アデデジはウェス・モンゴメリーふうのギターを弾きまくっています。

‘Ololufe Mi’ はヨルバ・ハイライフ、‘Ayinla’ はジュジュですよね。
‘Ayinla’ は、トーキング・ドラムとパーカッション陣によるイントロに始まり、
リズム・ギターとホーン・セクションがジュジュのリズムをリードします。
やがて複雑に入り組んだリフをコーラスが歌い、
ドラムスがフィルを入れまくるというアレンジ。
こんなカッコいいジュジュ、初めて聴くなあ。一転、トランペットがソロをとると、
ぐっとジャジーになったりと、その曲構成は実にユニークです。

King Jossy Friday.jpg

曲のほとんどはアデデジの自作曲ですけれど、他人の曲を2曲カヴァーしていて、
1曲がキング・ジョシー・フライデーの‘Gbanja’。
キング・ジョシー・フライデーは、オグン州のヨルバのサブ・グループ、
エバド(イェワ)人の音楽ボロジョを、現代化したギタリストです。
ぼくもボロジョの音楽家は、キング・ジョシー・フライデー一人しか知らないので、
ボロジョの実態をよくつかめていないんですが、アデデジが取り上げるとは意外でした。

もう1曲が、なんとアパラの巨匠、ハルナ・イショラの‘Ori Ni’。
アパラを取り上げるとはビックリなんですけど、ホーン・セクションも入って、
ちょっとアパラには聞こえないサウンドに変貌しています。
こんなカヴァー曲のセレクトからも、『ヨルバ・オデッセイ』の深淵が伝わってきますね。

ンバクァンガみたいなギターで始まるラスト・トラックの‘Tales of Agege’ まで、
これまでどんなヨルバの音楽家も成し得なかったユニークな音楽を、
アデデジはクリエイトしていて、あらためてその才能に感服しました。

Adédèjì "YORUBA ODYSSEY" One World AAONE2022 (2022)
[10インチ] King Jossy Friday & His National Toppers Band "WESTERN STATE SPECIAL" Philips West African 6386.012
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