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架空の映画のサウンドトラック 問題總部 It's Your Fault [東アジア]

問題總部 BLUE LEAK.jpg

今年は、台湾産ネオ・ソウルのクオリティに圧倒されっぱなし。
台湾インディに注目が集まっているのは、雑誌などで目にはしてたものの、
自分にはあまり関係ない話題と思って、気付くのが遅れてしまいました。

遅まきながら、リニオン、雷擎(レイチン)、陳以恆(チェン・イーヘン)と、
台湾産ネオ・ソウルの傑作を入手して、この夏からヘヴィロテが続いているんですが、
ピカピカの新作で極上の一枚を見つけましたよ。

それが、問題總部 It's Your Fault。
16年に台北で結成された、6人組R&Bバンド。
一聴して思い浮かんだのは、ザ・ソウルクエリアンズですね。
エリカ・バドゥ、クエストラブ、ディアンジェロ、コモン、モス・デフ、ビラル、
J・ディラ、Q=ティップ、ロイ・ハーグローヴという才能を集めて、
R&B史を転換させたスーパー・グループ。

フロントの女性ヴォーカル、丁佳慧(ハナ・リン)の
バンド・サウンドでのキャラ立ちは、エリカ・バドゥそのものじゃないですか。
R&B、ジャズ、フュージョン、ヒップ・ホップが混然一体となったサウンドは、
メンバー各自の音楽性を反映させたもののようです。
未聴ですけれど、前作EPはもう少しフュージョン色が強かったんですって。

今作では、ぼくがザ・ソウルクエリアンズを連想したように、
各自の音楽性がより練り込まれ、
グループとしてのサウンド・ヴィジョンがより明確になったんじゃないのかな。
サウンドトラックのようなストーリー性を感じさせる短いインスト曲のオープニングは、
オーケストレーションも配したゴージャスなプロダクションで、
彼らが今作に忍ばせたテーマを、サウンドスケープで具現化するようで、
引き込まれます。

続く「狠狠愛」は、けだるいネオ・ソウルと現代ジャズの合体、
雷擎(レイチン)をフィーチャーした「傷心 Je t'aime」はドラマティックな曲で、
やるせない都会の夜に身を焦がすようなスロウでスタートする「Say」も、
クライマックスでは丁佳慧(ハナ・リン)が感情を爆発させています。

濃密なこの3曲が、このアルバムの実質的な中身で、
あとは先ほどのゴージャスなオープニングのイントロと、
まさしくサウンドトラックのようなつなぎのインストのインタールードと、
けだるいオウトロで、全6曲わずか16分3秒が終了してしまいます。

ジャケットには映画の半券が封入されているいて、
架空の映画のサウンドトラックという目論見はわかるんですけど、
この曲数はあまりに少なすぎるなあ。
台湾インディは、どうしてこういうミニ・アルバム的なEP制作が多いんですかね。
このクオリティでフル・アルバムを制作していたら、
今年のベスト・アルバム間違いなしだったと思うんだけど。

問題總部 It’s Your Fault 「BLUE LEAK 水體」 no label no number (2022)
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