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子守歌に託された女性解放のマニフェスト レ・ママン・デュ・コンゴ & ロビン [中部アフリカ]

Les Mamans Du Congo & Rrobin  KIKENTO.jpg

コンゴ(ブラザヴィル)のママさんヴォーカル・グループ、レ・ママン・デュ・コンゴと
フランス人トラックメイカーのロビンのユニット新作。
フル・アルバムも来年秋に予定されているようなんですけど、
先に4曲入りEPが届きました。

前作がとびっきりフレッシュなアルバムだっただけに、即飛びつきましたよ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-12-29
失われつつあるコンゴの子守唄とダンスの回復を目的にスタートしたこのプロジェクト、
伝統回帰・保存という守りの姿勢ではなく、現代に通用する音楽として
再創造しようという攻めの姿勢が、見事に成功してるんですね。

ママンのリーダー、グラディス・サンバとアレンジャーのアーメル・マロンガ、
トラックメイカーのロビンの三者ががっちりとかみ合って、
今回もすばらしい成果を聞かせてくれます。
ママンたちのコーラスを前面に打ち出して、
エレクトロがメロディとビートの魅力を引き出す
引き立て役に徹しているコンセプトは今回も同様。

ラリ語で「女性の力」を意味するタイトルは、
コンゴの女性解放のマニフェストだといいます。
母から娘へと受け継がれてきたラリ語の子守唄が、
グラディスの柔らかな歌声で歌われていますが、
歌われる内容は、シビアなものです。

不妊症がテーマの ‘Ntima’ は、伝統的なコンゴ社会でタブー視される
不妊症で苦しむ女性の心の叫びが歌われています。
子どもたちがかくれんぼをするときに使う、質問と答えのゲームに置き換えた
形式の歌になっているのですね。
他人や呪術のせいにすることを戒め、仕事で努力することを促す ‘Sala Sala' は、
女性たちが自らの運命を変える意志を持つように励ます歌です。

40歳になっても母親から食事を与えられている男性の怠惰を責める ‘Dia’ は、
アフロビーツとトラップをミックスしたトラック、‘Sala Sala’ はアフロハウスと、
子守歌に託された女性解放のメッセージは、まさしく現在の問題だからこそ、
エレクトロなトラックにのせたヒップ・ホップを通過した歌い口が、
よりいっそう説得力を増して響きます。

Les Mamans Du Congo & Rrobin "KIKENTO" Jarring Effects no number (2023)
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