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ムシカ・クリオージャに挑戦したポップス・シンガー ホルヘ・パルド [南アメリカ]

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ペルーのクリオージョ音楽というと、
サヤリー・プロダクション制作のグァルディア・ビエハ世代は別格として、
エバ・アイジョン世代のヴェテランは今も元気に活躍していますけど、
もっと若い世代となると、とんと現れてこないですね。
今のリマの若者はロックやヒップ・ホップに夢中だし、
クリオージョ音楽は爺さん婆さん世代の音楽と受け止められているのか、
若手がなかなか育っていないのが実情のようです。

といっても、クリオージョ音楽の後継者たる若手がまったくいないわけではなく、
ぼくがごひいきにしている、バルトーラという女性シンガーもいます。
そしてつい最近手に入れたホルヘ・パルドという男性シンガーの新作が、
なかなか目を見張る出来で、ちょっと話題にしたくなりました。

タイトルは『伝統ペルー音楽』とそのものずばり。
サブ・タイトルに『アルトゥーロ・サンボ・カベーロとオスカル・アビレスに捧ぐ』とあるとおり、
二人のコンビのレパートリーを取り上げた内容となっています。
71年生まれというホルヘ・パルドは、
これまでバラーダやソウルなどのポップスを歌ってきた人で、歌唱力は確か。
伝統的なレパートリーと真摯に向き合った緊張感が、歌から伝わってきます。

音楽監督はギタリストのティト・マンリケが務め、コンテンポラリーな味付けなどせず、
オーソドックスなクリオージョ音楽のスタイルを貫く直球勝負ぶりが、意気に感ずですね。
ブック形式のCDの分厚い表紙を開けると、
最初のページにオスカル・アビレスの賛辞が載っています。
オープニングのSPノイズふうのSEの向こうから
ギターの調べが聞こえてくる演出も、なかなか気が利いていますね。
ホルヘの丁寧な歌唱にも若い色気が溢れていて、ゾクリとさせる場面も多数あって、
庶民的な味わいとは別物とはいえ、
ポップス・シンガーが歌うクリオージョ音楽も悪くないと思わせる説得力があります。
10曲36分足らずという内容ですが、これは入魂の作品と呼べるんじゃないんでしょうか。

Jorge Pardo "MÚSICA TRADICIONAL PERUANA : HOMENAJE A ARTURO ZAMBO CAVERO & OSCAR AVILES" Play Music & Video PMV106 (2010)
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