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ひとりリトル・フィート トム・プリンシペイト [北アメリカ]

A Part Of Me.jpg

おおっ、リトル・フィートだっ!
オープニングから、ローウェル・ジョージを思わせるスライド・ギターがぎゅんぎゅん鳴り響き、
そのあまりに70年代マナーなかっちょよさに、部屋じゅうぐるぐる走り回っちゃいました。
いまどきこのサウンドかよと、その後ろ向きぶりに突っ込みも入れたくなりますけど、
絵に描いたような様式美のかっこよさには、抗えませんねー。

トム・プリンシペイトというこのブルース・ロック・ギタリスト、
30年以上ボストンを中心に活動し、ソロ・アルバムも15枚以上出しているヴェテランとのことですが、
恥ずかしながら、その名をまったく存じ上げませんでした。
80年代はジェフ・マルダーのバンドにもいたんですって。

本人が自信作と誇る新作は、ゲスト盛りだくさんのアルバムで、
オープニングで鮮やかなスライド・ギターを聞かせるサニー・ランドレスに、
サザン・ロックの名オルガニスト、チャック・リーヴェル、
数多くの名演を残してきたベーシストのウィリー・ウィークス、
メンフィス・ホーンズの顔役ウェイン・ジャクソンなどなど、重鎮揃い。
トムもゲストに負けじと気合い入りまくりで、
力のこもったスワンプの薫り高いヴォーカルを聞かせます。

オープニングでリトル・フィートを思い浮かべたとおり、セカンドラインのナンバーもあったりして、
“DIXIE CHICKEN” と見事にイメージがダブりますねえ。
ちょっと毛色が違うところでは、インスト・ナンバーで、ジャジーなソロを弾くあたり。
もともと派手なソロを弾くタイプのギタリストではないらしく、
こういう抑えめなプレイに巧さを感じさせる人ですね。

反対に派手というか、やたらめったら目立つのがサニー・ランドレスのギター。
1曲目でいきなり主役も霞むスライド・ギターを弾きまくってますけど、
去年のドクター・ジョンのアルバム“TRIBAL” にゲスト参加した1曲でも
華々しいソロを弾いていて、あのアルバムの最高のハイライトとなっていました。

ドクター・ジョンの“TRIBAL” を思い出したついでに言うと、
双方のアルバムともすごくいい出来ながら、ゆいいつの不満はボトムが薄いところ。
こういう南部のアーシーなサウンドには、もっとズシッと腹にくるドラムスの響きが欲しいですね。
ロジャー・ホーキンスやリッチー・ヘイワードに親しんだ耳には、
こんな軽いボトムじゃ、とても物足らんのです。

Tom Principato "A PART OF ME" Powerhouse POW129 (2010)
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