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ジャズを超える音楽作品 ネイト・スミス [北アメリカ]

Nate Smith  KINFOLK.jpg

ネイト・スミスって、クリス・デイヴと1つ違いなんですね。
二人ともすでに中堅どころのドラマーなのに、
年下の若手ミュージシャンとの共演が多いせいか、
新世代ジャズのイメージが強いんですけれど、もう40も半ばなんですよねえ。

ネイト・スミスの10年前のリーダー作は、自分ではほとんどドラムスを叩かず、
打ち込み使いのR&B色の強いヴォーカル・アルバムだったので、
17年の本作もプロデューサー作品なのかと、勘違いしておりました。
こちらもコンセプト・アルバムながら、
まごうかたなき現代的なジャズ作品じゃないですか。
いやー、聞き逃さずにすんで、良かったわあ。

スゴイですよ、このアルバムの完成度。
クリス・バワーズ(ピアノ)、フィマ・エフロン(ベース)、
ジェレミー・モスト(ギター)、ジャリール・ショウ(アルト&ソプラノ・サックス)
の4人を中心に、デイヴ・ホランド(アコースティック・ベース)、
クリス・ポッター(テナー・サックス)、アダム・ロジャース、
リオネール・ルエケ(ギター)、グレッチェン・パーラト(ヴォーカル)という
豪華メンバーを揃え、ネイト・スミスの音楽世界を十二分に広げています。

ネオ・ソウルあり、ジャズ・ファンクあり、ミナス風ブラジリアンあり、
牧歌的なアメリカーナありと、スナーキー・パピーにも似た
華やかなクロスオーヴァー・ジャズを繰り広げるなかで、
ヌケのよい爽快なドラミングが生み出すグルーヴは、やはり天下一品。
多彩な作風を演出する作曲家としての高い才能も示していて、
穏やかな楽想に沿った映像的な演奏も、見事です。
ドラマー、コンポーザー、プロデューサー、それぞれの才能の成熟を感じさせる
スケールの大きな音楽作品です。

Nate Smith "KINFOLK: POSTCARDS FROM EVERYWHERE" Ropeadope no number (2017)
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