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ジャイヴ・ヴォーカル名盤 スキャットマン・クローザーズ [北アメリカ]

Scatman Crothers  Rock 'n' Roll with Sact Man.jpg

祝♡ 祝♡ 祝♡
マイ・フェヴァリット・ジャイヴ・アルバム、
スキャットマン・クローザーズの56年トップス盤が、
ようやーっと、まともなフォーマットでCD化されました!
ジョー・キャロルのチャーリー・パーカー盤にエピック盤とともに聴き倒した、
生涯の愛聴盤であります。

「まともなフォーマットで」と書いたのは、
98年に“OH YEAH!” というタイトルで一度CD化されたことがあったんですけれど、
曲順バラバラ、タイトルもジャケットもオリジナル盤無視で、
LPで愛聴していた者には耐えがたいものだったんですよ。
その後、06年にハイドラからシングル曲を集大成した編集盤が出たんですけれど、
トップス盤の曲は一部のみの収録だったんですよねえ。
初めて聴くシングル曲は、すごく嬉しかったんですけども。

というわけで、今回のジャスミン盤は、トップス盤の全12曲を収録したあとに、
48年から56年までの17曲を、ボーナス・トラックとしてクロノロジカルに並べるという
願ってもない編集で、あぁ、待った甲斐がありましたねえ。
ハイドラ盤に未収録の曲が多数収録されたのも、めちゃ嬉しい。
リー・ドーシーの“YES WE CAN” 完全CD化実現の時を思い起こしますねえ。
あの時と同じ感激ですよ。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-09-01

スキャットマン・クローザーズのあけっぴろげな歌いっぷりは、
植木等の「ぶあーっと行こうぜ、ぶあーっと!」に通じる爽快感で、もうたまりません。
しゃがれ声の味わいといったら、これぞ黒人芸能の粋そのもので、
全編スウィンギーな演奏にのせて、熟練の歌いぶりと豪快なスキャットを堪能できます。
なんといっても、ジャンプ・ブルースのノリがサイコー。
急速調の ‘I Got Rhythm’ のカッコよさなんて、
半世紀以上経ってもなお新鮮で、シビれますねえ。

タイトルのロックンロールは、当時の流行にあやかった名ばかりのもので、
中身はジャイヴ/ブルース/ジャズのてんこ盛り。
なんせスキャットマン・クローザーズは、46年にスリム・ゲイラード・トリオに
レオ・ワトソンの後釜ドラマーとして加入した経歴の持ち主ですからね。
30年代半ば、まだ中西部のサーキットを流していた時代には、
同い年のTボーン・ウォーカーとも共演したそうで、
その後一旗揚げようとハリウッドに進出して、最初に組んだトリオには、
なんと18歳のスタン・ゲッツが在籍していたんでありました。

ボーナス・トラックでは、プレスリーの ‘Hound Dog’ を聴くこともできますけれど、
やっぱり本領発揮は ‘Transfusion’ のように、小粋なギターと
スネア・ドラムのブラシで歌ったジャイヴィーな曲の方ですね。

スキャットマンは30~50年代は歌手として活動しましたが、
50年代以降は映画俳優として活躍し、広くは俳優として知られるようになります。
主な出演作に、『ジョニイ・ダーク』(54)、『ならず者部隊』(56)、『ボクサー 』(70)、
『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』(72)、『カッコーの巣の上で』(75)などがあり、
晩年は『シャイニング』(80)での名脇役としても有名になりました。

テレビ・ドラマの『ルーツ 』や『スタスキー&ハッチ』にも出演していたそうで、
ぼくもそうとは知らずに、スキャットマンを観ていたんだろうなあ。
そうそう、ランディ・ニューマンが映画音楽を手がけた『ラグタイム』(81)でも、
オープニング曲をスキャットマン・クローザーズが歌う予定だったのが、
結局キャンセルになった、なんて話も残っていますね。

ジャイヴ・シンガーとしてのスキャトマン・クローザーズの魅力を
あますことなく詰め込んだ名編集盤、お聴き逃しなく。

Scatman Crothers "ROCK ’N ROLL WITH SCAT MAN" Jasmine JASCD1010
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