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グラミー受賞後の自負作 ボビー・ラッシュ [北アメリカ]

Bobby Rush  Sitting On Top Of The Blues.jpg

ボビー・ラッシュがまさかグラミーを獲るとは、思いもよらなかったなあ。
前作“PORCUPINE MEAT” が、
16年の最優秀トラディショナル・ブルース・アルバムに輝いたのには、びっくり仰天。
芸能ニュースにさしたる関心のない当方とはいえ、
半世紀近くチタリン・サーキットのショウ・ビジネスで渡り歩いてきた、
ラッシュのような苦労人に光を当てるとは、グラミーもまんざらじゃないですね。

そのグラミー受賞作はラウンダーからのリリースでしたけれど、
新作はいつものラッシュの自己レーベル、ディープ・ラッシュから。
いやあ、ジャケットがこれまでになくカッコいいじゃないですか。
これまでのディープ・ラッシュのアルバムはアカ抜けないものが多かっただけに、
う~ん、グラミー獲ると、違ってくるもんですねえ。

なんたって、タイトルが“SITTING ON TOP OF THE BLUES” ですよ。
ミシシッピ・デルタの人気グループ、
ミシシッピ・シークスが1930年に当てた大ヒット曲で、
のちにハウリン・ウルフなどのブルースマンばかりでなく、
グレイトフル・デッドやボブ・ディランなど多くの歌手が取り上げてきた有名曲ですが、
アルバム中にこの曲はなく、タイトルだけ借りてきたのは、グラミー受賞への自負でしょう。

オープニングの‘Hey Hey Bobby Rush’ からして、
あらためて「オレはブルースマン」と自叙伝的に歌い、
ラッシュはみずからの立ち位置を、しっかりと見つめ直しています。
プロデュースは前作に引き続きスコット・ビリントンが担当した曲のほか、
マルチ・プレイヤーのヴァスタイ・ジャクソンとオルガン奏者のパトリック・ヘイズが、
それぞれラッシュと共に制作しています。

ホーン・セクションを従えたソウル・ブルースあり、
アクースティック・ギターによるカントリー・ブルースあり、スワンプ・ロックありと、
多彩なサウンドを貫くダウンホームな味わいが、ラッシュの真骨頂ですね。
シャッフルもブギウギもファンクも、すべてがラッシュ流に料理され、
粘っこく泥臭いタフなヴォーカルは快調そのものです。
ハープを吹く曲では、ハープを持った両手を高く掲げて静止し、
次の瞬間思い切りよく口元に両腕を振り下ろす、ライヴでのアクションが思い浮かびました。

グラミー受賞後の自負作、殿堂入りといえるんじゃないですか。サイコーっす!

Bobby Rush "SITTING ON TOP OF THE BLUES" Deep Rush 10215CD (2019)
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