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原石の輝き ナハワ・ドゥンビア [西アフリカ]

Nahawa Doumbia  La Grande Cantatrice Malienne.jpg

おぉー、ナハワ・ドゥンビアのデビュー作がCD化された!

オウサム・テープス・フロム・アフリカを主宰するブライアン・シンコヴィッツが
レーベル第1弾に選んだのも、ナハワ・ドゥンビアでしたよね。
あの時復刻したのは、82年の3作目の方。
なんでデビュー作じゃなくて3作目なんだよと、当時そのセレクトに不満ぷんぷんでした。

マリ、ワスル出身の女性歌手、ナハワ・ドゥンビアがアルバム・デビューしたのは、
ラジオ・フランスが主宰する新人コンテストで81年に優勝したのがきっかけ。
この年、コート・ジヴォワールのASレコーズからデビュー作を出したんですが、
ギター1本をバックに歌ったそのアルバムは、
粗削りな20歳のパワーを炸裂させた、痛快な仕上がりだったんです。
それはまさに、原石の輝きというべき貴重作でした。

それに比べて、翌82年に出した『第3集』は、
カマレ・ンゴニ、ギター、ベース、キーボード、
パーカッションというアンサンブルにのせて、
ワスル地方に伝わるバンバラ人のダンス音楽ディダディを披露した作品で、
のちの名作“DIDADI” や“MANGONI” のプロトタイプといえるものだったんですね。
世界デビュー後の名作を知る者からは、
コート・ジヴォワール産のチープなプロダクションはあまりにお粗末で、
あらためて復刻する意義は感じられませんでした。

なので、「なんでデビュー作じゃなくて3作目なんだよ」だったわけなんですが、
遅まきながらとはいえ、よくぞデビュー作をCD化してくれました。
ナハワはグリオ出身の歌手ではありませんが、このデビュー作を聴いて、
グリオばりの強力な歌声に圧倒されない人はいないでしょう。
カマレ・ンゴニをギターに置き換えたスタイルで弾く
ング・バガヨコのアクースティック・ギターにのせて、
ナハワは鋼のような強靭な歌声を聞かせます。

Nâ Hawa Doumbia "LA GRANDE CANTATRICE MALIENNE VOL.1" Awesome Tapes From Africa ATFA035 (1981)
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