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マンディング・エレクトロ・ヒップ・ホップ MC・ワラバ&メレケ・チャッチョ

MC Waraba & Meleke Tchatcho.jpg

おぉ、ついにマリ、バマコのサウンド・システム、バラニ・ショウが
CDで聞けるようになりましたか!
サヘル・サウンズが世界に紹介したバラニ・ショウ。
これまでLPとカセットのみのリリースで、
なぜかCDがリリースされてこなかったんですよねえ。

バマコのストリートで夜な夜なパフォームされているバラニ・ショウは、
クーペ・デカレとクドゥロのリズムに、バラフォン、ジェンベ、タマといった
伝統楽器を組み合わせたサウンド・システム。
「バラニ」がバラフォンを意味するとおり、バラフォンがサウンドの要となっています。
88年生まれのMC・ワラバは、90年代末バマコの夜に革命を起こしたバラニ・ショウで、
子供の時から育ったというラッパー。バマコのバガダジ地区に拠点を構え、
メレケ・チャッチョとコンビを組んで活躍していて、
サヘル・サウンズのコンピレにも1曲収録されていました。

いやぁ、フレッシュですねえ。シンプルでスキマだらけのバックトラックから、
キレのいいラップが飛び出してくるところが、サイコーですよ。
ムダにサウンドを厚塗りしていないバックトラックがいいんだな。

そのかわり、ビートはしっかり作り込んでいますよ。
ひょいっと裏拍を取ったり、ふんだんなアイディアが散りばめられています。
打ち込みのビートに絡みついてくる、
トーキング・ドラム(タマ)の叩きっぷりもスリリングで、
電子音と生音が有機的に結びついた聴きどころが、イッパイ。

耳残りするフックの利いた反復フレーズなど、曲づくりもうまく、ヒット性も高いですね。
さっそく南アのアフロ・ハウスのプロデューサー、アエロ・マニェロから声がかかり、
2曲をリミックスしたほか、リヨンのテクノDJもリミックスするなど、
世界から注目が集まっていますよ。

南アフリカのシャンガーン・エレクトロあたりが好きな人なら、
トリコとなることうけあいのマンディング・エレクトロ・ヒップ・ホップ。
マリのバラニ・ショウの初CD、アフリカン・ヒップ・ホップの傑作でっす!

MC Waraba & Mélèké Tchatcho "SUPREME TALENT SHOW" Jarring Effects/Blanc Manioc FX149 (2019)
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ジャズの語法とヒップ・ホップの発想 ジェフ・パーカー

Jeff Parker & The New Breed  SUITE FOR MAX BROWN.jpg

シカゴからロス・アンジェルスに活動の場を移して活躍するジャズ・ギタリスト、
ジェフ・パーカーの「ザ・ニュー・ブリード」プロジェクトの2作目。
16年の第1作は、デジタル時代に音楽制作するジャズ・ギタリストの、
ひとつの方向性を指し示した画期的なアルバムで、ぼくはいたく感激したんですけれど、
さらに驚いたのは、翌年に日本盤がリリースされ、プロモ来日した時のこと。

最近では外国のアーティストのインストア・ライヴといっても、
ごくわずかな人数しか集まらないので、知る人ぞ知るジャズ・ギタリストで
人が集まるのか?なんて思っていたら、大勢の若者が駆けつけていてビックリ!
その瞬間まで、トータスのギタリストということがアタマになかったもんだから、
よく日本盤が出るもんだなとか思っていたくらいで、認識不足もいいところでした。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-05-17

そしてその後8月には、コットンクラブでライヴを観ることができました。
PCのプリセットを鳴らし、エフェクターをかけたギターを繊細にプレイしながら、
凝ったポスト・プロダクションのアルバムを、生演奏で切れ目なく再現していました。
長いソロを弾く時には、ジェフの正統なジャズ・ギタリストとしての顔もみせ、
T=ボーン・ウォーカーのリックがたびたび飛び出すのも面白かったな。

前作はジェフの父親に捧げた作品で、
ジェフと父が一緒に映った古い写真をジャケットにしていましたが、
今作は母親の写真をあしらったとおり、母親に捧げた作品。
今回も娘のルビー・パーカーのヴォーカルをフィーチャーしています。

ライヴでも、ジャマイア・ウィリアムスのドラムスが
サンプラーのように聞こえたくらいなので、
CDで聴くと、生演奏なのかドラムマシンなのか皆目わからないのが面白いところ。
今作ではマカヤ・マクレイヴンが叩くトラックもあり、
うち1曲ではサンプラーと同期させているようです。

ジャズの語法とヒップ・ホップの発想を活かして、生演奏とデジタルが相互に干渉しあい、
色彩感豊かな表現を生み出されていくのを体感できるのが、
このプロジェクトの良さですね。
コルトレーンの‘After The Rain’ やジョー・ヘンダーソンの曲にヒットを得たトラックに、
オーティス・レディングの‘The Happy Song’ をサンプリングした
短いインタールードのようなトラックもあり。
ほのぼのとした体温の伝わるホームメイドな雰囲気には、得難い味があります。

Jeff Parker & The New Breed "SUITE FOR MAX BROWN" Inernational Anthem Recording Co. IARC0029 (2020)
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フランスの若者が再現するシティ・ポップ アル・サニー

Al Sunny  PLANETS.jpg

イントロのギターに、胸がキュンと鳴り、
ハタチの頃にタイム・スリップするような眩暈をおぼえました。
「フランスのネッド・ドヒニー」とはよくぞ言ったものです。
70年代後半、ウェスト・コースト産AORを徹底的に下敷きにしたサウンド。
マイケル・マクドナルドが加入したドゥービー・ブラザーズやボズ・スキャッグスが
街のいたるところで流されていた、典型的「なんとなくクリスタル」時代のBGM。

世界的なAORブームもここまでくりゃホンモノというか、
ジャケットのヴィジュアルなんて、とてもフランス人とは思えませんねえ。
日本先行で出たCDを試聴して、思わず苦笑してしまいましたが、
本国フランスでもCDリリースされたというので、それではと買ってみました。

あの当時のサウンドをてらいもなく再現しているのには、
当時の若者世代には、なんだかくすぐったい気にさせられます。
あの当時と今とでは、時代の雰囲気が180度も違うのを思えば、
自分の息子のような世代の若者が、
あの時代の音楽をリヴァイヴァルさせていることに、複雑な気分にならざるを得ません。

だって、今の20代にこんな音楽をエンジョイする環境なんて、ぜんぜんないじゃない。
車を持ってなけりゃ、デートでドライヴもできないし、
そもそも恋愛にだって、あんまりコミットしてなさそうだし。
なんだか現実味がなくて、いったい誰がどういう気分で聞いてるのか不思議ですけど、
初老のオヤジを喜ばせるサウンドであることは間違いありません(それでいいのか?)。

全編英語詞。フランス人であることをまったく意識させず、
レイト・セヴンティーズまんまの、メロウでブリージンなサウンドを繰り広げます。
プログラミングはいっさい使わず、
本人のギター、鍵盤、ベース、ドラムス、女性コーラスによる生演奏。
ソリーナの響きがあまりに懐かしくって、身がよじれました。
クロスオーヴァー時代を象徴したヴィンテージ楽器が、いまも活躍できるとは。
スキャット入りのインスト・ナンバーでは、フリー・ソウルな感性も嗅ぎ取れ、
なるほど、このテのリヴァイヴァルは、今も脈々と続いているワケねとナットクしました。

Al Sunny "PLANETS" Favorite Recordings FVR159CD (2019)
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成長した7弦ギタリスト ジョアン・カマレーロ

João Camarero  VENTO BRANDO.jpg   João Camarero.jpg

う~ん、やっぱりいいなあ、このギタリスト。
ショーロの7弦ギタリスト、ジョアン・カマレーロの2作目です。
アカリから出たデビュー作で、ラファエル・ラベーロやマルコ・ペレイラを継ぐ人として
注目していたんですけれど、クラシック系レーベルから出た今作では、
グンと表現を広げたギターを聞かせてくれ、すっかり嬉しくなってしまいました。

まずジョアンのギターの良いところは、エッジの立った弦の響き。
爪弾き独特の立ち上がりの鋭いサウンドは、クラシック・ギター奏法の基礎ですけれど、
このきりっとギターを鳴らすサウンドが、ソロ・ギターではとても重要ですよね。
ジョアン・カマレーロが師事したジョアン・リラは爪弾きじゃなくて、
指の腹で弾くギタリストなんですよね。
師匠とはスタイルが違うわけなんですが、指の腹で弾くと、
こういうシャープな響きは出せません。
ジョアン・リラがゲスト参加した2曲を聴けば、違いは明らかでしょう。

そして、今作でグッと良くなったと感じたのが、緩急のつけ方が巧みになったこと。
デビュー作でもったいなあと感じたのが、複雑なパッセージを、
あまりにサラサラと難なく弾ききってしまうところでした。
聞かせどころといった演出がなく、超絶技巧を垂れ流してしまうプレイは、
聴き手にこの人の運指の凄さが伝わらないように思えました。

それが今作では、ギターの響かせ方やフレーズの組み立ての両面で、
静と動の使い分けをするようになり、高度なテクニックを見せつけるばかりでなく、
押し引きを豊かにした表現が、いっそうメロディの美しさを際立たせてています。

デビュー作では、クリストヴァン・バストスの曲で、
クリストヴァンのピアノがゲストで加わったほかは、
ジョアン・カマレーロの完全独奏でしたけれど、
今回もジョアン・リラがゲスト参加した2曲(うち1曲はカヴァキーニョも参加)を除いて、
完全独奏アルバム。ソロ・ギター好きには、たまらないアルバムです。

João Camarero "VENTO BRANDO" Guitar Coop GC03JOC18 (2018)
João Camarero "JOÃO CAMARERO" Acari AR51 (2016)
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カジュアルなシュヴァル・ブワ マチュラン・ロヴィロン&ブワ・キャネル

Mathurin Rovillon.jpg

カジュアルなシュヴァル・ブワを聞かせる、マルチニークのおっさんグループ。
若手グループなのかと思いきや、クリップを見たら、
メンバー全員がけっこういい年で、長年一緒にやってきた仲間みたいですね。

デデ・サン=プリやマルセのように、
シュヴァル・ブワの可能性を拡張するような音楽と違い、
かつてマルチニークの移動遊園地のアトラクションで人気だったという、
手押し回転木馬の伴奏音楽だった時代を思わせるような、
オーセンティックな演奏がなごめます。

笛と太鼓ほか打楽器に、リズム・セクションが付いただけの編成で、
きびきびとしたリズムが、人々を心地良いダンスに誘います。
ツイン・ベースというのがユニークなグループで、リード役のベースが
笛のメロディをユニゾンで弾いたり、リズムの裏を取ったりして、
かなり面白いラインを弾いているのが耳を引きます。
キレのいいタンブー(太鼓)の響きと、
歌とコーラスのコール・アンド・レスポンスがほがらかで、
田舎の芸能らしいシュヴァル・ブワの良さを堪能できますよ。

ベースやドラムスが入っているので、昔ながらの伝統的なスタイルではないですけど、
それでも回転木馬の内側で演奏していた時代を思わせるのは、
ほっこりとしたメロディの温かさゆえですね。
ユジェヌ・モナ以後、デデ・サン=プリ、マックス・シラ、マルセなど、
シュヴァル・ブワを現代化する試みがさまざまに続けられていますけれど、
こんな普段着姿のシュヴァル・ブワがたっぷり聞けるアルバムというのも、
今日びなかなか貴重じゃないでしょうか。

Mathurin Rovillon & Bwa Kannel "MATHURIN ROVILLON & BWA KANNEL" Debs Music no number (2019)
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レユニオン発クレオール・ジャズ セドリック・デュシュマン

Cedric Duchemann.jpg

レユニオンのジャズ・ピアニスト、セドリック・デュシュマンは、
メディ・ジェルヴィルに続くレユニオン期待の若手。
ザヴィヌル・シンジケートのドラマー/パーカッショニストとして知られる
パコ・セリーのグループで活動したのち、マルチニークのベーシスト、
ジャン=クリストフ・ラウファストと組んでゼピシを結成し、
12年にアルバムを出していて、今作がソロ・デビュー作となります。

11曲中7曲でドラムスを叩いているエマニュエル・フェリシテは、
メディ・ジェルヴィルの“TROPICAL RAIN” でも叩いていた人。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-04-09
ゲストにマルチニーク出身のベーシスト、ミッシェル・アリボや、
ヴェトナム系フランス人ギタリストのグエン・レが起用されているところも、
メディ・ジェルヴィルの“TROPICAL RAIN” と共通していて、
ここらへんはフランス海外県のコネクションなんだろうな。

セガやマロヤのリズムを借用したトラックはあるものの、
‘Ségalougarou’ と題されたトラックはセガと無関係な演奏となっていて、
マロヤ・ジャズを標榜するメディ・ジェルヴィルのスケール感には及びません。
全体にカリブ/ラテン色の強いワールド・ジャズ・フュージョンといったサウンドで、
ジャズよりもフュージョンのニュアンスがやや強い演奏となっています。

セドリッキ・ボウの良く歌うギターも、フュージョン的な予定調和感が強く、
ジム・セレスタンのサックスも、激しいブロウを繰り広げるかと思えば、
ほかの曲ではグローバー・ワシントンみたいなヤワなソプラノを吹いたりしていて、
いまひとつ個性がはっきりしないところが、ちょっともどかしいなあ。
むしろ、ゲストのグエン・レの冴えたギター・プレイや、‘Somiz' zon'’ で聞かせる
アラン・ホールズワースばりのトーマ・マネロウクのテクニカルなプレイが
強く印象に残りました。この人もレユニオンの人だそうです。

デュシュマンという苗字から察するに、
セドリックはインド系移民の末裔だと思いますけれど、
15歳の時にセガのファミリー・グループで初レコーディングをしたという経歴を聞くと、
ひょっとして家族はモーリシャスから渡ってきたのかな?という気もしてきます。
セガやマロヤというインド洋クレオール・ミュージックに、
フランス海外県をネットワークとしたフレンチ・カリブのクレオール・ミュージックが
さらに交わった新時代のクレオール・ジャズが、
少しずつ花を広げてきたのを実感する1枚です。

Cedric Duchemann "TROPICALISM" Couleurs Music no number (2019)
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アンゴラのメロディ・メイカー フィリープ・ムケンガ

Filipe Mukenga  O Meu Lado Gumbe.jpg

去年の暮れ、調べものついでに、アンゴラ、ギネア=ビサウ、カーボ・ヴェルデ、
サントメ・プリンシペといったポルトガル語圏アフリカのCDを
<ここ掘れワンワン>していたら、アンゴラのヴェテラン・シンガー・ソングライター、
フィリープ・ムケンガの13年作を発見しました。

フィリープ・ムケンガについては、以前一度記事を書きましたけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-08-14
今回手に入れた13年作が、いまのところ最新作のよう。
いまごろ気付いたのもお粗末な話ですけれど、
40年を越すキャリアで、まだ5作目というのは、寡作家ですねえ。
タイトルを見て、ギネア=ビサウのグンベーを歌っているのかと早とちりしたんですが、
よく見たらグンベーではなくグンベで、フィリープの本名、
フランシスコ・フィリープ・ダ・コンセイソーン・グンベからきているようです。

ブラジルのジャズ・ピアニスト、
ルイス・アヴェラールを迎えてリスボンで制作した本作、
ぐっとジャジーなサウンドに仕上がっていて、
フィリープの個性的なソングライティングが芳醇な香りを放つ、
大人のポップスに仕上がっています。

キンブンド語、ウンブンド語、クワニャマ語、ポルトガル語、英語と
多言語で歌っていますけれど、昔から変わらないのは、
ブラジルのシンガー・ソングライター、ジャヴァンの作風が瓜二つなこと。
奇しくも同じ49年生まれという二人ですけれど、
フィリープ自身ジャヴァンからの影響を隠しておらず、
ブラジル色の強いメロディ・メイカーぶりを、今作でも発揮しています。
また今作は、ジャヴァンとの仕事でも知られるルイス・アヴェラールが
プロデュース、アレンジしているので、よりMPBのセンスが強く感じられますね。

オープニング曲のみンゴニを使って、西アフリカ風のサウンドを創作していますけれど、
それはほんの味付け程度のもので、全編ポルトガル人ミュージシャンによる生演奏。
プログラミングを全く使用していないところは、潔ささえ感じさせますね。
7管のホーン・セクションも加わる贅沢なプロダクションで、
ありていなキゾンバとは天と地ほども違う、ゴージャスなサウンドとなっています。

これほどの力作も、ポルトガル制作のポルトガル盤という事情ゆえ、
まったく世間に知られぬままとなっているのは、残念すぎます。

Filipe Mukenga "O MEU LADO GUMBE" Get!Records GET00005/13 (2013)
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センバのディーヴァとして復活 パトリーシア・ファリア

Patrícia Faria  EME KIA.jpg   Patrícia Faria  BAZA, BAZA.jpg

アンゴラの女性シンガー、パトリーシア・ファリアは、81年ルアンダ生まれ。
ガール・グループのアス・ジンガス(・ド・マクルソ)で活動した後、ソロ歌手に転身し、
内戦がようやく終結した02年にデビュー作の“EME KIA” を出しました。

デビュー作が出たのは、まだセンバがリヴァイヴァル・ブームとなる前のことでしたけれど、
パトリーシアはすでにセンバの曲を多く歌っていて、
キゾンバ、アフロ・ズーク、サルサといったレパートリーとともに、
キレのあるフレッシュな歌声を聞かせていました。
ロック調のギターを取り入れるなど、
さまざまにアレンジしたセンバのプロダクションは意欲的で、
若手によるセンバ復興の兆しがすでに垣間見えるアルバムだったのですね。

09年には、パウロ・フローレスやユリ・ダ・クーニャをゲストに迎えたセカンド作
“BAZA, BAZA” を出します。このアルバムのプロダクションは超充実していて、
アフロ・ズークをベースとしたキゾンバながら、生演奏にこだわったスグレもの。
厚みのあるパーカッション・アンサンブルに、ホーン・アンサンブル、弦セクション、
アコーディオンやハーモニカに加え、ラップの取り入れ方も巧みで、
複雑なサックス・ソリをさらりと組み込んだり、高度なアレンジに舌を巻きました。
アルバムのフックとなるダンサブルなセンバの‘Nzagi’ も、爽快な仕上がりでしたね。

これほどの充実作を出したものの、その後長くブランクが空いてしまいます。
パトリーシアはラジオ・ルアンダのブロードキャスターで、法律家でもあり、
歌手以外の活動が忙しかったのかもしれません。
というわけで、10年ぶりに3作目となる新作が届いたんですが、
前作の懲りに凝ったプロダクションのキゾンバから一転、
今作はセンバにこだわったアルバムとなりました。

Patrícia Faria  DE CAXEXE.jpg

こちらをまっすぐに見すえたくりっとした目に、
南部アフリカの伝統的な化粧をあしらったポートレイトというツカミのあるジャケットに、
今回も傑作の予感をおぼえましたが、予想は大当たり。
すっかり声も円熟して、気負うなく歌うパトリーシアの歌声は、
これぞアフリカン・フィメール・ヴォーカルといった味わいに溢れています。

1曲目は意外にもセンバでなく、
北東部チョクウェ人の伝統音楽チアンダのリズムを取り入れたもの。
ルンバぽいリズムですけれど、コンゴ民主共和国やザンビアにも暮らす
チョクウェの音楽をオープニングにするとは、意表を突かれました。

そして2曲目からは、センバ尽くし。
マラヴォワ風のヴァイオリン・セクションが伴奏につく2曲目以降、
アコーディオンや華やかなホーン・セクションもたっぷりとフィーチャーして、
ディカンザの刻みをこする響きも小気味よい、ダンサブルなセンバが続きます。

前半の中ほどには、メロウなズーク・ラヴの‘Será Que Vale a Pena’と
センチメンタルなボレーロの‘Toda Mulher’のスロー・ナンバー2曲を置いたのも、
ダンスの中休みとなっていて、いいアルバムの流れとなっていますね。
長いブランクをものともしない、見事な仕上がりに感服しました。
「キゾンバやクドゥロばかりじゃないのよ」というパトリーシアの発言も頼もしい、
センバのディーヴァとしての復活です。

Patrícia Faria "EME KIA" Balafon RNA-PF001-02 (2002)
Patrícia Faria "BAZA, BAZA" Paty Faria no number (2009)
Patrícia Faria "DE CAXEXE" Xikote Produções no number (2019)
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すごく実用的な3人組 マイケル・フォーマネック

Michael Formanek Very Practical Trio.jpg

フリー/アヴァン系ミュージシャンとの共演が多いニュー・ヨークのベーシスト、
マイケル・フォーマネックの新トリオのメンツに、目を見張りました。
メアリー・ハルヴァーソンのギターに、ティム・バーンのアルト・サックスですよ!!!
いぇ~い! もうぼくのために結成してくれたようなトリオで、速攻いただいてきました。

マイケル・フォーマネックとメアリー・ハルヴァーソンは、
すでにサムスクリューというギター・トリオで演奏しているし、
マイケル・フォーマネックのラージ・アンサンブル、アンサンブル・コロッサスには、
メアリー・ハルヴァーソンとティム・バーンの両名が参加して、
大きな存在感を示していましたからねえ。
この3人によるトリオは、まさしく待望の顔合わせといえます。

マテリアルは、最後のスコット・ラファロの1曲を除き、すべてマイケルの曲。
コンポーズされた主旋律のあとで、3人が対等に即興しあっていくんですが、
三人三様、その即興が変奏であったり、装飾音を加えていくものだったりと、
それぞれアプローチの異なる即興を繰り広げます。

メアリーはコードに沿ったアプローチで、
メロディックなラインを長く取る場面が多いですね。
メアリーの十八番といえる、ぴよ~ん ♪ とピッチを揺らすエフェクティヴなプレイは、
今回は割と控えめかな。あの音、ディレイ・ペダルだけで出しているんですってね。

ティムはメアリーと並走したり離れたりしながら、異なる色彩を施していき、
時にぐんと浮上して破れた吹奏も聞かせます。二人とも手探りになったり、
ふらついたりすることがなくて、確固としたラインを紡いでいくところが、
めちゃくちゃカッコイイなあ。

マイケルは、メアリーとティムの背景となり、ゴンゴンとリズムをかたどるだけでなく、
時に前景となって二人を引っ張っていきます。二人の間に介入して、
次の展開への兆しを作ったりもしていますね。
即興の後には、またぴたっと3人が主旋律に戻る構成が、
バランスのとれた緻密な美しさがあります。

あぁ、メアリーのライヴ観たいなあ。この3人で来日してくれないものか。

Michael Formanek Very Practical Trio "EVEN BETTER" Intakt CD335 (2019)
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クラックラックスの新展開

CRCKLCKS Temporary Vol.2.jpg

クラックラックスの『TEMPORARY』を絶賛溺愛聴中のところ、
わずか2ヵ月で新作EP『TEMPORARY VOL.2』を出してくるとは意外でした。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-11-05

「VOL.2」というタイトルに、ジャケットをモノクロに変えただけのデザインは、
なんだかリミックス・アルバムかダブ・アルバムかのよう。
そんなグラフィックに、続編的な内容とばかり思い込んで聴き始めたら、
いきなり冒頭の「かりそめDiva」で、イスから転げ落ちそうになりました。

コッテコテのディスコ・ナンバーで、えぇ? これ、クラックラックスなの??
全然違うバンドのアルバムをかけたのかと、ブッたまげ。
華麗なストリングスに(シンセだけど)、
ホーン・セクション(多重録音?)まで高らかに鳴るブギー・ファンクぶりは、
ミラー・ボールが目に浮かぶようなナンバーじゃないですか。
続いて2曲目の「IDFC」は、まるでPファンク。
小田朋美のヴォーカルに加工を施していて、
これまでのクラックラックスのイメージを打ち破りましたね。

新機軸は、まだこれだけでは終わりません。
小田朋美のヴォーカルが美しいスロウ・ジャムの「Crawl」。
弦セクションのゲスト起用も新たな試みですけれど、
なんと石若駿がドラムスを叩いておらず、プログラミングなんですよ。

最初聞いた時は、打ち込み使いに軽いショックをおぼえたんですが、
途中で、プログラミングからするっと石若の生ドラムスに変わるパートが出てくるんですね。
マシンと人力演奏を曲中で使い分けながら聞かせるアイディア、面白いなあ。
「IDFC」でもドラムスとパーカッションの絡みが面白いし、間奏で変拍子になったりと、
リズム・アレンジでもいろいろな工夫がみられます。

さらに『TEMPORARY』収録の「素敵nice」を、
思いっきりロックなヴァージョンに変貌して再演したのも、秀逸。
『TEMPORARY』にはなかった続きの歌詞が出てくると思ったら、
『TEMPORARY』のタイトルが「demo#01」となっていたことに、今頃気付きました。

いやあ、驚きましたねえ。
フル・アルバムの新作を出したばかりだというのに、
がらっと新たなイメージを打ち出すとは、彼らの才能は底知れませんね。
とはいえ、これだけ新機軸を打ち出したのに、
『TEMPORARY VOL.2』と題したのは、大いに疑問。
ちゃんとしたタイトルを付けるべきでしたね。

とにもかくにも。
『TEMPORARY』~『TEMPORARY VOL.2』~『ANSWER TO REMEMBER』の順で、
毎朝の通勤時は石若駿のドラムス三昧であります。

CRCK/LCKS 「TEMPORARY VOL.2」 アポロサウンズ APLS1913 (2019)
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ギネア=ビサウの成熟したクレオール・ポップ エネイダ・マルタ

Eneida Marta  IBRA.jpg

へぇ、ずいぶんご無沙汰していた間に、円熟したんだなあ。
ギネア=ビサウの女性歌手エネイダ・マルタの4作目となる新作です。
久しぶりに聴いた歌声が見違えるようで、
あれ、こんなにいい歌い手だったけかと、ちょっとドギマギしちゃいました。

エネイダ・マルタというと、世界デビューした06年の“LÔPE KAI” が
代表作として知られていますけれど、ぼくは声が苦手で手放しちゃったんですよね。
けっこう評判の良かったアルバムではあったんですが。
06年作のあと、15年にアルバムを出していたようなのですけれど、そちらは未聴。
というわけで、13年ぶりに聴いたわけなんですが、これ、とてもいいアルバムです。

冒頭の‘Alma Na Fala’ は、ぼくが密かに注目していた、
ギネア=ビサウの新進女性シンガー・ソングライター、カリナ・ゴメスの作品。
この人の14年作“MINDJER” をいまだ入手できずにいただけに、おっ!と思いました。
ギターラ(ポルトガル・ギター)をフィーチャーしたバラードで、
昨年亡くなったエネイダと共に活動していたコラ奏者イブラヒム・ガリッサに
哀悼を捧げた曲とのこと。祈りが込められたメロディを、
ドラマ性のあるサウンドが鮮やかに演出しています。

このアルバムでは、ギネア=ビサウ音楽シーンを飾ってきた、
重要な音楽家の作品を多く取り上げていて、
さきほどのカリナ・ゴメスやレンナ・シュワルスといった若手の作品から、
70年代のギネア=ビサウを代表するバンド、コビアナ・ジャズのアリウ・バウや、
名門バンド、スーパー・ママ・ジョンボのオリジナル・メンバーの
ゼー・マネール・フォルテスなど、新旧作品が並びます。

ゼー・マネールについてはコーラスでも参加していて、
彼の曲‘Koitadi’ では、バラフォンのカクシ味も利いた
マンデ・ポップ風のサウンドを聞かせていますよ。

ギネア=ビサウのグンベーを核として、優雅なクレオール・ミュージックを
聞かせる本作、アクースティックな音感を強調しながら、
シンセサイザーでサウンドをトリートメントしたプロダクションが見事です。
プロデュースは、モニク・セカやサリフ・ケイタとの仕事でも知られる
コート・ジヴォワールの名アレンジャー/エンジニアのクドゥ・アタナセ。
参加ミュージシャンの顔ぶれを見れば、ギネア=ビサウといえばこの人という、
ギタリストのマネーカス・コスタもちゃんといますよ。

アンゴラやカーボ・ヴェルデなどポルトガル語圏アフリカから、
成熟したクレオール・ポップのアルバムが相次いで出るようになりましたけれど、
ギネア=ビサウからもついに登場した、そんな実感を持つ快作です。

Eneida Marta "IBRA" Algeventos ALGEVENTOS003 (2019)
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一皮むけたエチオ・ポップのプロダクション ブザエフ・キフレ(ブジ・マン)

Buzayehw Kifle (Buze Man)  WEDEFIT.jpg

次から次へと出てくるエチオピアの若手男性シンガー。
出てくる人出てくる人、どの人も歌が上手いのには、毎度驚かされます。
いまやアフリカで歌の上手い若手男性シンガーの宝庫は、
エチオピアとアンゴラの二か国といえますね。

ということで、今回知ったブジ・マンこと、ブザエフ・キフレくん、
スムースな歌い口で、アクがないのはイマドキのシンガーらしさですけれど、
歌唱力がバツグンに高いことは保証します。
なかなかのイケメンくんで、ちょいとロジャー・トラウトマン似なマスクは、
年長の女性ファンにもアピールしそうじゃないですか。

全15曲収録時間66分というヴォリュームで、
アムハラ演歌やグラゲなど地方色豊かな伝統ポップから、
レゲエやコンテンポラリーなポップまで、幅広いレパートリーを歌っています。
メリハリの利いた歌いぶりが堂に入っていて、
こぶしを柔らかに回す技量も大したものです。

打ち込みと生演奏のバランスがよくとれたプロダクションは、
低予算の金太郎飴式のサウンドから、ようやく脱却したことを実感しますね。
これまで、ともすれば鍵盤楽器だけで作っていたところを
サックスなどの管楽器やマシンコなどの伝統楽器に、
生のパーカッションも使って、R&B/エレクトロ・サウンドとブレンドさせています。
ギターも曲により生とエレクトリックを使い分け、カラフルなサウンドを生み出しています。

チェリナのような飛び抜けたサウンドも登場するようになって、
コンサバな伝統ポップのエチオ・ソウル・サウンドも底上げしたようですね。

Buzayehw Kifle (Buze Man) "WEDEFIT" Vocal no number (2019)
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新時代エチオ・ポップの逸材 チェリナ

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エチオピアン・ポップの新時代を予感させたツェディでしたけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-10-30
あの作品はアメリカ西海岸に渡って活動するディアスポラならではの音楽性であって、
エチオピア国内から彼女のようなアーバンなセンスのアフロ・ポップが
登場するのは難しいだろうなと思っていたら、いや、時代は動いていましたねぇ。

そう実感させられたのが、
チェリナという26歳の女性シンガー・ソングライターのデビュー作。
柔らかな発声にチャーミングな歌いぶりが魅力的なだけでなく、
これまでのエチオピアン・ポップの水準をはるかに超えたプロダクションが画期的です。

チェリナの音楽性を一言でいえば、ポップ・レゲエということになると思うんですが、
従来のエチオピアン・レゲエのシンガーにはみられない、
今日的なネオ・ソウルやジャズと親和性のあるハイブリッドなサウンドを聞かせていて、
「エチオピアのシティ・ポップ」と呼びたくなりますね。

チェリナは、歌手だった母親からの勧めで、
大学に進学して法律を学ぶ予定だったのを音楽学校へと進路を変更し、
そうして音楽家になったのだそうです。
親の反対を押し切って音楽家になるのが世の常だというのに、
こんな真逆のケースもあるんですねえ。

キャリアのスタートもユニークなら、デビューまでの道のりも、かなりユニークです。
母親が音楽業界に通じていたことから、多くのミュージシャンやプロダクションとの
コネクションがすぐに出来、デビューやアルバム制作の話も相次いだという、
超恵まれた環境にあったようなんですが、
彼女はデビューを急がず、むしろ自分の成長に時間をかけたとのこと。

多くの歌手たちのように、クラブやレストランでの演奏活動を行わず、
作曲活動に専念してアルバムの制作を進め、
3年前にアルバムをいったん完成させていたそうです。
しかしその後、出産などによる2年間のブランクの間に
新たなアイディアが生まれ、スポンサー面での課題なども現れ、
アルバム制作をやり直すことになったとのこと。

そうして長い歳月をかけたデビュー作は、発売直後から話題を呼び、
昨年10月に開催されたシェゲルFM主催の第9回レザ賞で、
最優秀新人賞と年間ベスト・アルバム賞のダブル受賞を獲得しました。
そんなエピソードも、本作を聴くといちいちナットクできる、
チェリナのユニークな個性が発揮されたこのアルバム、
インターナショナルで成功しても不思議はありませんよ。

エチオピア色は皆無と思いきや、
1曲だけエチオピアの旋法をさりげなく使った11曲目の‘Beyikrta’ では、
ほのかなエチオピアの薫りが漂い、頬がユルみました。
新時代エチオ・ポップの逸材といえるチェリナ、
ジャズ系のミュージシャンを起用したアルバムも期待してみたいなあ。

Chelina "CHELINA" Chelina Music no number (2019)
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苦節を超えた朗らかさ ジヴァゴ

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う~ん、この歌い口! たまりませんねぇ。
今のアンゴラの若手からは出てくることのない、野趣に富んだヴォーカル。
包容力のある温かな歌声から、人柄が伝わってくるかのようです。
内戦で経済が崩壊したアンゴラ国内で歌手活動を続けた苦節を考えれば、
その朗らかな歌声は驚くべきことで、人を笑顔にさせる力に感じ入ります。

ジヴァゴことアダン・ゴンサルヴィスは、54年ルアンダ生まれ。
77年、アンゴラ南西部沿岸ナミベを拠点とするベンティアバ・ショウに参加して
プロの歌手となり、83年フェノメナル在籍時に録音した‘Avó Tete’ がヒットします。
その後ソロ活動に転じ、89年に‘Ramiro’ が大ヒットとなって成功しました。
‘Ramiro’ は、のちにパウロ・フローレスが05年のライヴ盤でもカヴァーした名曲です。

27年間の内戦が終結した02年から、初ソロ・アルバムの制作にとりかかり、
ジヴァゴのシグニチャー・ソングである
‘Avó Tete’ ‘Ramiro’ の2曲の再録音を含む“KIAUBA” を、
08年になってようやく完成させました。

本作はそのデビュー作から11年を経て出た新作。
セカンドと数えてよいのかどうか、新たにレコーディングした6曲と、
ボーナス・トラックにデビュー作で再演した
‘Avó Tete’ ‘Ramiro’ を追加したミニ・アルバムとなっています。

新たにレコーディングした6曲のうち‘Mendonça’ は、
65年結成のアンゴラの最古参バンド、オス・キエゾスの92年のアルバム
“KENIEKE TUENE - NÓS SOMOS ASSIM” で歌っていた曲です。
ここではアコーディオンのカクシ味も利いた、
ディカンザが刻むリズムが爽快なダンサブルなセンバに仕上げていますね。

柔和な表情のジヴァゴの歌を守り立てる、
プログラミングをいっさい使わない人力演奏がまた良くって、
古き良きセンバの味わいに富んだ楽曲の良さを引き立てています。
アフロ・ズークのニュアンスを加味したキゾンバの‘Luminga’ の切なさなんて、
グッときますねえ。

Jivago "NGUEZA N’DINDI" Xikote Produções no number (2019)
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便り届かぬマレイシアの伝統歌謡 ナッシエル・ワハーブ

Nassier Wahab  Tak Munghin Hujan Balik Ke Langit.jpg

あけましておめでとうございます。

金色に飾られたジャケットが、おめでたい正月気分に似合う、
マレイシアの伝統歌謡アルバムです。
マレイシアの伝統歌謡、2000年前後はずいぶん盛り上がったものの、
すっかりごぶさたとなっていまい、
最近は新録も届かなくなってしまいました。

久し振りに見つけた男性歌手の伝統歌謡アルバム、
なんとマレイシア伝統音楽界の重鎮S・アタンのプロデュースというので
即飛びついたんですが、クレジットを見てみれば、14年のアルバム。
あれまあ、もう6年も前のものだったか。

見逃し物件だったとわかり、ちょっとがっかりしましたけれど、
でも気付いてよかった好アルバムです。
クセのない甘い声と柔らかなこぶし使いで、
ジョゲット、ザッピン、アスリ、ドンダン・サヤン、クロンチョンなど、
多彩な伝統歌謡のレパートリーを歌っています。
S・アタンのアコーディオンを中心に、
ルバーナなどのパーカッションがマレイシアの伝統リズムを奏で、
モダンに仕上げたプロダクションもばっちりですね。

62年生まれのナッシエル・ワハーブは、
スロー・バラードを得意とするポップ・シンガー。
80年にS・アタンの後押しでデビュー作をリリースするという幸運に恵まれ、
80年代後半にポップ・バラードやダンドゥットを歌って人気を博したとのこと。
伝統歌謡に挑戦した本作のオリジナルは、00年の“KE PUNCAK PERSADA” で、
12年のアルバムから1曲‘Keroncong Kerinduan’を追加して
再発したものだったんですね。

う~ん、結局このアルバムも、
伝統歌謡ブームとなった時代の置き土産作品だったのかあ。
シティ・ヌールハリザやノラニーザ・イドリスたちが活躍したのも、今や昔。
あの頃のようなブームが再来しなくてもいいから、
せめてコンスタントに、伝統歌謡の新作を聴かせてもらいたいものです。

Nassier Wahab "TAK MUNGKIN HUJAN BALIK KE LANGIT" Musicland 51357-23472 (2014)
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