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クラブ・ミュージックからジャズへ モーゼズ・ボイド

Moses Boyd  DARK MATTER.jpg

モーゼズ・ボイドがエクソダス名義で18年に出した“DISPLACED DIASPORA” の記事で
「すでにボイドはここから一歩も二歩も歩みを進めているはず」と書きましたけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-12-10
まさにそれを証明する新作が届きました。

重くもたったビートを繰り出す生ドラムスと、打ち込みを並走させた
冒頭のトラック‘Stranger Than Fiction’ から、
ジャズとビート・ミュージックを融合させるボイドのネライが明確に伝わってきます。

ジャズの生演奏をもっとも強く打ち出した‘BTB’ は、
ジャズ寄りのアフロ・ファンクといったアプローチで聞かせるトラック。
分厚いホーン・セクションは、アフロビートを思わせるアレンジを聞かせるものの、
ベースは自在にうねりまくり、ドラムスは一定のビートしつこくを刻み続け、
余計なオカズを加えず変化をつけないところは、
アフロビートのリズム・セクションのフォーマットとは真逆です。
ところが、演奏全体としてはアフロビートを感じさせるのが面白いんだなあ。
アフロビートの新解釈というべき、良きお手本ですね。

後半になると、ポスト・プロダクションの打ち込みと
生演奏を並走させるトラックが多くなり、
モーゼズの生ドラムスが打ち込みのビートに聞こえたりして、
音像が脳内変換するような不思議な感覚に囚われます。
ぼくはこれを聴いていて、20年くらい前によく聴いていた、
ブロークン・ビーツやハウスなど、西ロンドン界隈でクロスオーヴァー化していた
クラブ・ミュージックを思い起こしました。

New Sector Movements  DOWNLOAD THIS.jpg   Afronaught  SHAPIN’ FLUID.jpg
Nathan Haines  SOUND TRAVELS.jpg   CHILLI FUNK RECORDINGS V DUB TRIBE SOUND SYSTEM.jpg

そこで、まっさきにCD棚から引っ張り出した、
IGカルチャーのメイン・ユニット、ニュー・セクター・ムーヴメンツが、どハマリ!
ボイドがポスト・プロダクションで作り込んだドラムのパーツごとの音色の選択なんて、
完全に相通じるじゃないですか。
この当時西ロンドンでアフロ、ソウル、ハウス、テクノと拡張していた
エクレクティックなクラブ・ミュージックのサウンドの質感が、
モーゼズ・ボイドがここで試みているサウンドと地続きなのを感じます。

20年ぶりくらいに聴き返したニュー・セクター・ムーヴメンツが、めっちゃ新鮮で、
さらに棚を掘り起こしてアフロノウトやネイサン・ヘインズなどなど、
当時のクラブ・ミュージック熱を再燃させるきっかけとなった、
モーゼズ・ボイドの新作でした。

Moses Boyd "DARK MATTER" Exodus no number (2020)
New Sector Movements "DOWNLOAD THIS" Virgin 7243-8-49922-2-4 (2001)
Afronaught "SHAPIN’ FLUID" Appollo/R&S 049CD (2001)
Nathan Haines "SOUND TRAVELS" Chilli Funk CFCD005 (2000)
v.a. "CHILLI FUNK RECORDINGS V DUB TRIBE SOUND SYSTEM" Chilli Funk CFCD007-1,2 (2001)
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