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音数を減らして魅力増 カロル・パネジ

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イチベレ・ズヴァルギのグループに13年間在籍した
マルチ・プレイヤーのカロル・パネジの新作が、
注目のジャズ・レーベル、ブリックストリームから出ました。

ヴァイオリン、フリューゲルホーン、ピアノに加え、ポエトリー・リーディングや
ヴォイス・パフォーマンスも行うカロル・バネジは、18年にデビュー作を出したばかり。
そのデビュー作では、イチベレ・ズヴァルギのもとで身に付けた
エルメート・パスコアール直系の音楽性を繰り広げていました。

フレーヴォ、エンボラーダ、マラカトゥなどの北東部音楽に、
サンバやショーロなどのブラジルの豊かな音楽的伝統を背景に、
クラシックやジャズの高度な知識や技量を、これでもかというくらい見せつけていましたね。
初のリーダー作に意欲満々で勢いあまったというか、
あれもこれもと詰め込みすぎて、ちょっと未整理な印象も残ったんですけれど。

エルメート・パスコアールがゲストに加わった曲は意外に(?)悪くなかったけど、
弦楽三重奏をゲストに迎えた曲などは、
弦とピアノ、シンセのハーモニーがごちゃごちゃしすぎ。
複雑な展開のコンポジションは、それぞれのパートが引き立つアレンジを施してこそ、
スリリングな演奏となるところ、多すぎる楽器音がぶつかりあってしまい、
かえってスリルを減じているのが気になりました。

2作目となる本作は、ピアノがギターと交代し、ゲストはなし。
音数がすっきりと抑えられてスキマが生まれたことで、
サウンドにぐっとメリハリがつきましたね。
カロルが多重録音したヴォーカル・ハーモニーをバックに、
ポエトリー・リーディングするトラックも、
デビュー作での試みとは格段の差じゃないですか。

美しいハミングを際立たせるアレンジも良くなりましたね。
これも音数を少なくしたからこそで、
ブラジルのジャズならではのスキャットが浮き立ちます。
1曲目のマラカトゥから、ヴァイオリンがラベッカふうのぎこぎこ音を立てるパートと、
クラシックらしい優美な音色を奏でるパートが交互に入れ替わり、
メリハリの利いたアレンジがコンポジションの良さを引き立てています。

ラストの軽快なタンボリンに導かれるサンバから、
するりと変拍子に移っていくコンポーズもすごくいい。
ナイロン・ギターもヴァイオリンも柔らかい音色で、
変拍子だというトリッキーさをみじんも意識させないところが、うまいなあ。

Carol Panesi "EM EXPANSÃO" Blaxtream BXT030 (2019)
Carol Panesi & Grupo "PRIMEIRAS IMPRESSÕES" Maximus 5.071.607 (2018)
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