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弔いは祝い フラ・フラ [西アフリカ]

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世界各地の絶滅危惧種音楽(?)をフィールド・レコーディングする、
イアン・ブレナンの<ヒドゥン・ミュージックス>シリーズの最新作。
シリーズ第6弾となる本作は、ガーナ北部のコロゴです。

コロゴといえば、キング・アイソバの成功を皮切りに、
ボラ・ナフォ、アゴンゴ、ガイ・ワン、アユーネ・スレ、
アタミナ、スティヴォー・アタンビレと、
数多くの音楽家が次々とアルバムを出していることは、
このブログをご覧になっている読者なら、ご承知のとおり。
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絶滅危惧どころか、ブーム真っ只中といえるコロゴを
このシリーズで取り上げるのは、趣旨と合っていない気がしますが、
フィールド・レコーディングということで、スタジオ録音では味わえない
生々しく現場感覚に富んだサウンドが聴けそうですね。

イアンは、ガーナ北部の主要都市タマレの町はずれで行われていた
葬式で歌われていたコロゴをレコーディングしてきたといいます。
ガーナの葬儀音楽というと、ロビ人のギリ(バラフォン)の演奏が有名ですけれど、
コロゴも葬儀で演奏されることを、今回初めて知りました。
演奏はコロゴとシェイカーと笛を操る3人組。
ガーナ北部に暮らすフラフラ人の民族名そのままを、グループ名にしています。

葬式の葬列で歌っているところをレコーディングしたとのことで、
外側からマイクで拾うのではなく、3人にマイクを仕込んで録ったようですね。
そのせいか、参列する人々の声やざわめきのような音は捉えられておらず、
3人の歌と演奏がクローズ・アップされていて、
フィールド・レコーディング独特の臨場感がぜんぜんなくって、
まるでスタジオ録音のように聞こえます。

とはいえ、3人のパフォーマンスは、実に生々しいですよ。
どなるようなコロゴ弾きの歌いっぷりは、野趣そのもの。
笛とシェイカーの二人も、唸りのようなハミングをしたり、
コロゴ弾きの歌をはやしながらも、
3人が唾を飛ばし合うような勢いで歌い合ったりと、存在感ありまくりです。

コロゴの奏法は、弦楽器というより、打楽器そのものですね。
たった二つの音を、ひたすら叩き続けてリズムを取るなど、
プリミティヴそのもののプレイを聞かせます。

わずか32分足らず、7曲のパフォーマンスですけれど、
ワン・パターンになりがちなコロゴのアルバムには珍しく、
全曲とも構成が違っていて飽きさせないという、傑出したアルバム。
秀逸なフィールド・レコーディングです。

Fra Fra "FUNERAL SONGS" Glitterbeat GBCD089 (2020)
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